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数か月休みゼロ、食事はロケ弁…弱小芸能マネージャーの「残酷物語」

学び

駆け出しのアイドルに比べたら「まだマシ」

「大手は知りませんけど、小さな芸能事務所だと薄給です。30歳で額面20万円ほどしかもらえていないマネージャーも普通にいますよ。でもロケ弁などで食事は賄えるし、そもそもお金を使う時間がないので、なんとかやっていけるんですよね。それにアイドルの女の子と比べてしまうと、自分は『恵まれている』と実感しますよ」

 薄給を自称するマネージャーより少ないとは……小さな芸能事務所に所属するアイドルはどれほど稼いでいるものなのでしょうか。

「新人アイドルの月給は3万円とかザラにある話です。そんなお小遣い程度のお金じゃ生活できないと思うでしょう? でもなぜか成り立ってしまう不思議な世界なんです。実家で親に養ってもらってる子もいるし、仕送りしてもらってる子もいる。

 もちろん普通のバイトしている子もいるし、ギャラ飲みやパパ活で生計を立てているいる子もいるし、事情はそれぞれですけどね」

武道館や東京ドームでの単独ライブが夢

浴室乾燥

 一般人から見ると、やはり普通ではない芸能の世界。労働時間は長く、給料も安いのにもかかわらず、なぜ芸能業界にこだわるのでしょうか。

「マネージャーに多いのは、やっぱりアイドルや芸能人が好きなミーハーなタイプ。あとはテレビ局に出入りしている自分を俯瞰で見て、悦に浸るタイプ。それに、純粋な人も多いですよ。一緒に努力して新人タレントを売っていくことに情熱を注いでいるマネージャーとか。

 現場マネージャーは確かに過酷ですけど、自分が担当しているタレントが売れたら、出世できるし、チーフや社長になったら、芸能界の一部を作っていく楽しさがあるでしょう。僕もやはりそこに憧れますね。

 最近、念願だったアイドルグループを立ち上げたんですけど、この子たちを売りたいって本気で思うし、いつか武道館や東京ドームで単独ライブができたらなんて夢を見ています」

 どんなにブラックな労働条件でも、夢があればやっていけるということなのでしょうか。今後、山岡さんの夢が叶うことを祈ります。

特集・令和の「ブラック企業」事件簿

<TEXT/小畑マト イラスト/パウロタスク(@paultaskart)>

自称ノンフィクションライター。犯罪、薬物、売春などドロドロした原稿をトロトロ書いてます

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