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若者文化の発信地から渋谷はどう変わるか?キーマンに聞いた

ビジネス

ナイトタイムエコノミー振興の成果

金山淳吾

渋谷区観光協会の代表理事の金山氏

 ビジネスタウンの側面がある一方で、渋谷は若者のカルチャーが生まれる発信地でもある。音楽やファッション、アートなどクリエイティブな活動をする人が多く集まるナイトシーンもまた、渋谷を語る上では外せないトピックだ。

 2016年の風営法改正以降、全国に先駆けて、ナイトタイムエコノミーを盛り上げている渋谷だが、これまでの活動をしてきた中でどんな成果があったのだろうか。

「2016年に音楽アーティストのZeebra氏にアムステルダムで開催された『Night Mayor Summit(ナイトメイヤーサミット)』に、夜の観光大使(ナイトアンバサダー)として参加してもらいました。そこで得た知見を渋谷の夜に生かそうと、定期的な意見交換の場やクラブ街を中心とした早朝の清掃活動などナイトシーンのイメージ向上を図るアクションに繋がっている」

街全体のエコシステムを考える

 一方で、渋谷の街はすごく複雑で、住宅地もすぐそばにあることから、騒音や深夜営業規制などの方向に話がまとまりやすかった。そんななか、「商店街や行政と夜の事業者との対話が生まれ、共通理解が得られてきたのは大きな成果」だと金山氏は説く。

「我々がナイトタイムエコノミーについて勉強し、地元の町内会や商店街の人にナレッジを共有し、健全なナイトシーンを作っていきたいという対話の機会を設けることで、夜の渋谷を共に考えようとする機運が生まれたのは大きい」

 しかし、あくまで小さな一歩を踏み出したに過ぎず、もっとナイトタイムエコノミー振興の可能性を引き出すために尽力する必要があるとも付け加えた。

「夜間対応できる交通インフラを整備したり、意図的に夜景をデザインする条例を設けたりと、局所的に考えるのではなく、街全体のエコシステムとして捉えないと成果が出たとは言いにくい。

 街中に商業広告が無尽蔵に貼り出されている渋谷に対し、ニューヨークでは夜間までやっている文化施設のネオンサインが夜を彩り、ランドスケープ(景観)デザインがされている。この点に関しては、圧倒的に渋谷が劣っているため、街をもっと俯瞰的に見て、ナイトタイムエコノミーの促進をしていかなくてはいけないと思う」

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