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若者文化の発信地から渋谷はどう変わるか?キーマンに聞いた

ビジネス

「渋谷のカリスマ」と出会う。新しい遊び方

金山淳吾

 渋谷区観光協会というまちづくりに携わる視点から見た、渋谷の新しい遊び方やトレンドについて聞いてみた。

「かつては多くの“カリスマ”ショップ店員が渋谷で働いていて、そのトレンドをキャッチアップするために、若者たちが足繁く通っていた。それは今も同じで、SNSが発達して簡単に情報を得ることができるようになっても、ファッションブティックで働く人やレコードショップの店員などは、専門知識はもちろん、おしゃれにも敏感で造詣の深さを持っている。

“来街者”ではなく働き手として、渋谷にトレンドセッターが戻って来ているので、彼、彼女らに会いに行って色々と話すことで、リアルなトレンドや情報を得られる。ローカルコミュニティに触れることで『人と出会う遊び』をもっとしてほしい」

 渋谷では、ほぼ毎週、どこかで何かしらのイベントが開催されている。渋谷音楽祭や渋谷ファッションフェスティバルなどの大きなイベントは、街全体が活気に満ちるとともに、人々の多様な価値観やライフスタイルが溶け合い、「渋谷にしかない体験」の創出に繋がっている。

これからは「ササハタハツ」に注目

金山淳吾

 最後に、今後の展望について話を伺ったところ、「渋谷区で再開発したい注目のエリアがある」と語った。

「原宿はカワイイカルチャーの中心、代官山は洗練されたライフスタイルが根付く街、恵比寿は美味しい食の集結する場所など、渋谷区のそれぞれの地域ではスタイルがあるが、ササハタハツ(笹塚・幡ヶ谷・初台)といった甲州街道沿いの街に新たなカルチャーを生み出せないか考えている。渋谷から電車一本では行けない場所ではあるが、渋谷や原宿、表参道など文化集積エリアとは少し離れたエリアに文化投資をしていき、新たなクリエイティブカルチャーが育つような土壌を作れればと考えている」

 初台の近くには、ファッションを学ぶ文化服装学院があることから感度の高い学生が集まっている。ここにどのようなカルチャーが生まれるのだろうか、今後も渋谷区の取り組みに注目していきたい。

<取材・文・撮影/古田島大介>

1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている

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