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気鋭のイタリア人監督が見た「日本と欧州の不遇なエリート中年」

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いつだってやめられる 10人の怒れる教授たち

『いつだってやめられる 10人の怒れる教授たち』

――まだまだとおっしゃっていますが、実際に、30代でこうして世界的にヒットする作品を撮られています。監督自身の20代はどういう期間でしたか?

シビリア: 20代の自分といまの自分とはあまり変わっていないよ。ただ、20代のときのほうが混乱していたかな。でも自分がストーリーを物語りたいということは、はっきりしていた。

 アルバイトで、長期の旅行者を楽しませるエンターテインメント要員のようなことをしていたんだ。クラブメットにいるようなエンタメ要員といえばいいかな。おもしろい話をして、人を楽しませる。

 そこからたまたま映画というツールを得ることができた。昔から映画は好きだったし、物語を映画として語れるというのは、すごく幸運だと思っている。

 もし映画というツールを得ていなかったら、嘱託でおもしろい話をするとか、とにかく人におもしろい話をして楽しんでもらうことをしていたと思う。とにかく物語を語ることが、自分の使命だと思っていた。

――最後に、自分は不遇だ、やりたいことができていないと思っている20代の若者に向けて、監督からメッセージをいただけますか?

シビリア:自分ごときが何か言うのは、なんだか歳を取った気がするし、恐縮しちゃうけど……。道というのは、既存の道を行こうとしてもダメなんじゃないかな。道は自分で作り出していかなきゃ。いまって、やろうと思うことは結構できる社会状況なんじゃないかと思う。でもそれができないときというのは、自分自身で、こんなことはできないだろうと思ってしまうから、できなくなってしまうことが多い。

 僕自身は、「プロデューサーを躍起になって探して映画を作ろう!」としたのではなく、「とにかく映画のために脚本を書きたい!」と書き上げた。1作目は低予算だったけれど、作り上げた。

 そして今ここにいる。やりたいことをやる。やりたいと思ったら、やる。それだけだよ。あ、でも上から言ってるわけじゃないからね。傲慢な監督だと思わないで、どうか、みなさん、作品を観に来てくださいね。アリガトウゴザイマシタ。

<取材・文・撮影/望月ふみ 取材協力/ギャラリー册>

いつだってやめられる 10人の怒れる教授たち
監督・原案・脚本/シドニー・シビリア 出演/エドアルド・レオ、ルイジ・ロ・カーショほか 配給/シンカ Bunkamuraル・シネマほか全国公開中 © 2017 groenlandia srl / fandango srl

ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画周辺のインタビュー取材を軸に、テレビドラマや芝居など、エンタメ系の記事を雑誌やWEBに執筆している。親類縁者で唯一の映画好きとして育った突然変異
Twitter:@mochi_fumi

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