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住友林業、“木造”70階建てビルを計画。実現できるのか聞いてみた

ビジネス

 住友林業は2041年に地上350m・70階建ての超高層木造ビルを建設する研究技術開発構想W350計画を発表した。

住友林業_インタビュー

住友林業・筑波研究所長の、中嶋一郎さん

 木造で東京タワー(333m)よりも高いビルを建てることは果たして可能なのか? 住友林業筑波研究所長の中嶋一郎さんに、W350計画が出来た経緯とその実現可能性について話を聞いた。

木を使って環境を良くしたいという思い

W350_俯瞰図

2041年に竣工予定の木造高層ビル(イメージ図/提供:住友林業)

――W350計画ができた経緯はどのようなものでしょうか。また、なぜ木造の超高層ビルを計画するに至ったのですか?

中嶋一郎(以下、中嶋):実は、W350計画は“木造の高層ビルを建てること”だけが目標ではありません。

 住友林業では1691年(元禄4年)の創業以来、木を活かして豊かな社会を実現することを経営理念に事業を行ってきました。そして、創業350周年を迎える2041年に『木の価値を高める技術で世界一の存在になる』という大きな目標を示したのが、W350計画です。超高層木造ビルの建設はこのプロジェクトのうちのひとつになります。

 現在、W350計画の研究所では、植林技術・材料の製造技術・建築・住まいの建築技術を包括した研究を行っております。これらの技術開発を、超高層木造ビルの建設を通じてアウトプットしていきます。将来的にはW350計画のスキームを通じて“木を用いた持続可能な街づくり”(=環境木化都市)が実現していること。これが一番の目的になります。

――W350計画で建設予定の超高層木造ビルは構造部分の9割が木造となっています。鉄骨やコンクリートなど木よりも丈夫な素材がある中でなぜ、ここまで木造にこだわっているのでしょうか?

中嶋:木の特徴として、まずは空気中のCO2を炭素として固定すること、そして唯一再生可能な自然素材であることが挙げられます。これからいろいろな建物に木を使ってもらいたいと考えたとき、そのための技術を確立し、人々に木の価値と可能性を認めてもらう必要があると考えました。W350計画は木の可能性を具体化させるという意義を持っております。

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