なぜ企業は面接で「志望のきっかけと動機」を聞くのか?
言語化の方法② 説明したい言葉で例文を作ってみる
今回、そもそも言語化をテーマにしようとしたのは、本年度の就活生と話している際に、「A社のインターンのESに『インターンを志望するきっかけ、動機を教えてください』という項目があったのですが……」と相談されたことがきっかけです。
A社は「インターンの志望理由を教えてください」と言わずに、わざわざ「きっかけ、動機」という言葉を選んできています。よって「この2つの言葉の違いを明確にして、それに合わせた回答をしなければいけないよ」と伝えたのですが、「じゃあそれってどうやるの?」という話になったときに、次の言語化フローを示しました。
まず初めに「きっかけ」と「動機」という似た言葉の共通点と相違点を明確にすべく、それぞれの言葉が使われるタイミングや事例を「同じテーマ」において無数に羅列していく必要があります。
<きっかけ>
・テレビでプロ野球をみたのが「きっかけ」で少年野球チームにはいった
・小学生のころ仲の良い友達の熱心な説得が「きっかけ」となりラグビーを始めた
・小さいころ朝顔を育てた経験が「きっかけ」となり、大学は理系を選んだ
<動機>
・テレビでプロ野球をみたのが「動機」で少年野球チームにはいった。
・小学生のころ仲の良い友達の熱心な説得が「動機」となりラグビーを始めた
・小さいころ朝顔を育てた経験が「動機」となり、大学は理系を選んだ
などなど、何でも良いので同文章に対して、それぞれの言葉を入れ替えて比較していきます。ここでひとつ大事なポイントが、「比較することは言語化を手伝う」ということです。
例文を注意深く比較してみよう
この時点で、共通点が少ない言葉であれば明確に違いが見えてきます。しかし共通点が多い言葉の場合は「相違点」が非常に見えにくくなってきます。
今回は後者のパターンに該当するでしょう。それぞれの文はどれもある程度意味が通じてしまいそうです。ただし、以下の2文を注視してみてください。
・小さいころ朝顔を育てた経験が「きっかけ」となり、大学は理系を選んだ
・小さい頃の朝顔を育てた経験が「動機」となり、大学は理系を選んだ
大半の人は後者の文章に違和感を覚えるはずです。幼少期のころの経験が大学の進路選択の「きっかけ」になることはあっても「動機」になることは少ないのではないか? という視点です。
ここに言語化の勝機が見出せます。いやいや「動機」でも通じるだろ! と思ったあなた。それも実は正解です。この「動機」という言葉はフレームが大きく「きっかけ」という言葉を内包することもあるからです。