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松尾スズキ、監督・主演・脚本のR18映画「お行儀の悪い大人たちを見て」

暮らし

「これで行くんだ」という背水の陣だった

松尾スズキ

――動員をということは、劇団を作って演劇をやるというだけではなく、成功したいと。

松尾:当然でしょう。食えなきゃ続けられないですから。

――別に仕事を続けながら、平行して好きなことをやっていければと言う人もいますが。

松尾:そんな生半可なことじゃ続けられないですよ。これで行くんだという背水の陣でした。最初に働いたあとにプー太郎になったんですけど、学校時代の友達や先輩に紹介してもらって絵を描く仕事をしてました。劇団を立ち上げたころは、まだ絵を描いていましたが、やっているうちに芝居がどんどん面白くなっていっちゃって演劇に絞った。

 この間、芝居の巡業で北海道に行ったんですけど、札幌って劇団が山ほどあって、社会人演劇みたいなのがすごく盛んなんです。そういう人生の楽しみ方も全然あると思います。でも自分としては、両立は不可能でした。

自分がブレていたら集まっていなかった

松尾スズキ

――同じ劇団を長く引っ張ってきて、ここは譲れないという点はありますか?

松尾:何かに媚びたようなことだけはやりたくないですね。たとえば、今時代的にこれがキテルから、こういう作品をやろうとか。そういうのには関わりたくない。

――劇団がどんどん大きくなっていって、宮藤官九郎さん、阿部サダヲさん、荒川良々さんなど、多くの劇団員が大活躍されています。そうした面白い人を引き付ける力とは何なのでしょうか。もちろん松尾さん自身が面白い人だからだとは思いますが。

松尾:僕が勝手にやっていることについてきてくれた人たちなので、マニュアルがあるわけではありません。たまたま出会って、じゃあ一緒にやろうと膨らんできた集団なので。

――勝手にやってきたというのは、言い換えれば自分にうそをつかずにやってきたということでしょうか。

松尾:そうですね。キレイごとは言いたくないし、僕がブレていたら集まっていなかったとは思います。

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