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家を買うなら、“オリンピック後”は本当に狙い目なのか?

暮らし

 アラサーともなれば、一度や二度はマイホームの購入が頭をよぎったことがあるのではないだろうか。しかし実際に検討段階に入ると様々な不安点が障壁となるはず。ローンはいくらで組むか、新築か中古か、そもそも場所をどうするか。

高層ビル建築中

※画像はイメージです。(以下同じ)

 恐らく人生で一番高い買い物になるだけに慎重になることに越したことはないが、何を指針にして動けば良いかわからない……。そんな悩めるbizSPA!世代(25~30歳、年収400万~500万円を想定)に向けてお送りしたいのが当記事である。

 資産性のある中古物件やリノベーションの設計施工に特化した独自の不動産ノウハウが持ち味の「ゼロリノベ」で取締役を務めている一級建築士の西村一宏氏に、単身男性に向けた不動産購入の実践的なアドバイスを聞いた。第1回目(全5回)は「不動産探しの前に知っておくべき知識」をお届けする。

“オリンピック後”に下がるかは誰にもわからない

 まず不動産購入にあたって、今もっとも気になるイベントと言えば、開幕まで1年を切った東京オリンピックだ。巷でよく聞く「今の不動産相場は五輪後に下がる。だからその時が狙い目」という見方は本当なのか。

「最近いろんな人たちから“オリンピック後”の不動産の話をよくされるのですが、そもそも不動産相場というのは誰にもコントロールできないもの。例えば外国の例を出すと、2012年のロンドンオリンピックの時は、開催後に相場が上がったと聞いています。なので、上がる下がるといった確定的なことは誰にもわかりません。

 これは我々がお客様にもお伝えしていることなのですが、基本的にマイホームというは、肉体が健康であるうちに無理のない予算で購入するのがベストな選択と言えます。

 なぜなら、住宅ローン利用条件の1つに『健康』があるからです。実際、この条件があるため、収入面ではまったく問題ないのに『1年前に手術した』『こんな持病がある』……など、健康面に問題があって住宅ローンを借りられない人も少なくありません。

 つまり年齢を重ねるほど健康面のリスクは高まってしまう。そうなってからでは、せっかく気に入った物件に巡り会えても、双方の条件が合わなくて契約に至らないこともあります」(西村氏、以下同)

「人生100年時代」だからこそ賃貸はリスク

家探し

 東京オリンピックを意識しすぎて、今の自分にとってベストな物件を逃してしまっては本末転倒。ところで最近は「生涯賃貸派」の人もいるというが、プロの目から見た賃貸リスクは。

「今は人生100年時代。みんなの寿命が延びた分、賃貸派の人は80歳になっても毎月アパートの賃料を支払えるかどうか、という切実な問題に直面してしまいます。

 仮に死ぬまで健康体で仕事もあれば大丈夫かもしれませんが、そういう方は少数派だと思うので、常にリスクを抱えた状態で、老後を生き抜かないといけなくなるのです」

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