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300円で企業のブラック度を判定。実体験を生かした異色サービス

学び

 残業代未払いやパワハラ、長時間労働などが問題視されるブラック企業。世間の目は厳しくなる一方だが、いまだに求人情報だけでは見破りにくいのも事実。

ブラック企業

※画像はイメージです

 そんななか、気になる企業の情報を送るだけで、ブラック企業か、ホワイト企業かをサクッと調べてくれるサービス「ブラック企業アラート」が話題になっている。

“ブラック判定”を出した企業は1社だけ

 運営者は、自らもブラック企業サバイバーだという運営者の當瀬ななみさん。今回のサービスについて「もともと私が加入していたオンラインサロンで始めたものです」と語る。

「とある有名なライターさんのオンラインサロンに入っているのですが、そこで『このジャンルで、この単価で書かせるのは搾取では?』と思うような安価な仕事を引き受けているライターさんを何人も見てきたんです。私なりに調べても、経営の怪しいブラック企業ばかりだったので、サロン内で代わりに調べて、結果をお伝えしていたのです」

 すると、當瀬さんのもとには、他にも企業分析の依頼が殺到、サロンの中に専門チャンネルができるほどの評判になったという。さらに、その経緯を個人向けメディアサービス「note」に投稿。SNS拡散などサロンメンバーの協力もあって、半年ほどで外部依頼が発生するまでになった。

「問い合わせの種類としては、正社員の方から『転職先を調べてほしい』といったものが多いです。業界は、主にインターネット系の広告代理店や事業会社で、次いで多いのが製造業。最近では有名外資系企業に内定をもらった学生から『内定先を調べてほしい』と連絡がありました。ただ、嬉しい誤算だったのは、調べた結果、“ブラック判定”を出した企業は1社しかなかったということでした」

決算資料・人物判定・社風の持つ意味

ブラック企業

※画像はツイッターより

 では、どうやって企業を分析しているのか。「決算資料・人物判定・社風の3つのポイントを重視しています」と、當瀬さんは語る。決算資料は業界における将来性であり、人物判定は検索時のサジェストにネガティブなワードが出てこないか。社風は複数の転職サイトの口コミを見比べ、働きやすい環境かを調査しているそうだ。

「いずれも公開されていて、誰でも見られる情報です。あくまでスタンスは、他人よりも数字が読めて、エクセルが得意な一般人。今の会社に入るために、決算短信、IR(株主・投資家向け広報)を死ぬほど読んだので、情報を5分とかでまとめられるようになったのが自分の優位性だと思っています。300円という値段設定も、フリーランスとして働いているときの5分の時間単価です」

 これまでこうした企業の信用調査は帝国データバンクや東京商工リサーチなどが企業を相手にしたサービスとして行っていた。しかし、當瀬さんはあくまで個人を相手にする。

「例えば経営は安定しているけど、口コミ、ビジネスモデルを見たときに、そこで働く面白みが全く感じられない企業があったとします。そこを20代のビジネスマンに紹介するとき、ワークライフバランス重視ならいいけど、やりがい重視だったら違うところのほうが適正があるかもしれない。あるいは地方の方からの依頼だと、その地域の平均年収などを参考にしたうえで答えています。そういった細かい判断は、個人対個人ならではだと思いますね」

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