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ソフトバンクが先陣を切った2年縛り廃止で「損する人・得する人」

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 ソフトバンクは9月13日、2年契約を条件に通信料金の割引きを行う「2年縛り」を廃止した新料金プランを導入した。これまでは、2年契約を前提にさまざまな特典が受けられる代わりに、契約期間中に解約をした場合に9500円の違約金がかかっていたが、新プランでは契約期間も違約金もない。

ソフトバンク

※画像はイメージです(以下、同じ)

 この背景には、10月より施行される改正電気通信事業法に伴い、総務省が定めた「定期契約の違約金(解約金)は上限1000円」というルールがある。

 この動きは他の大手キャリアにも広まっていくのか? また、それによりユーザーへはどんなメリット・デメリットはあるのか? 携帯電話の契約に詳しいフリーライターの山野祐介氏に聞いた。

2年縛り廃止は他社にも広がる?

 他大手キャリアについて、ドコモは新プランについて未発表だが、KDDIは違約金を1000円に値下げし、2年縛りを残すプランを発表している。ソフトバンクが先陣を切った「2年縛り廃止」だが、山野氏は「他の大手キャリアも続くだろう」と予想する。

「今までは1万円近く違約金を取っていたので、解約の抑止としても機能していたと思います。しかし、これからは法律で1000円しか取れなくなるので、大した抑止力にならなくなります。取れるお金が以前の1割になると、2年縛りを設けるメリットが薄くなるので、今後廃止するキャリアが増えると思います。

 ソフトバンクの狙い的には『どうせ1000円しか取れないんだから、もう違約金いらないでしょ。他社より早くやって宣伝効果を狙ってしまおう』ってところじゃないでしょうか。契約時に不要な有料オプションを勧めてくるなどの営業方法が何度か問題になっていて、ある程度携帯のリテラシーがある人はソフトバンクを敬遠しますが、そこまで知識のない層は今回の発表で『ソフトバンクっていい会社だよなぁ』って思う可能性があるので、この辺はさすが孫正義だなと……」(山野氏、以下同)

2年縛り廃止のメリットと、そのウラ側

2年縛り

 そもそも「2年縛り廃止」によるユーザーにとってのメリットとは、何なのだろうか。

「メリットは2つ考えられます。1つ目は、当然ですがいつでも気軽に解約できるようになること。今までは『よっぽどのことがない限り、2年完走したほうがいい』という状態でしたが、契約期間がなくなれば通信事業者間の移動が容易になります。2つ目は、理論上ですが、事業者間の競争が発生してサービスの質が良くなる可能性があるということです」

 一見いいことづくめだが、山野氏はこの裏にあるカラクリを指摘する。

「携帯電話の普及率が非常に高く、インフラとして機能している現状では、契約者数が爆発的に増えることはないといえます。つまり、携帯電話の市場は、今いるユーザーの奪い合いなのです。そのため、携帯キャリアが今まで通りの収益を出すために必要な契約者数は劇的には変わらないと思います。つまり、トータルで消費者が払う金額も、劇的に下がることはないということです。2年縛りで儲けていた分を他のところで回収する形になるだけで、毎月いくら引き落とされるかは変わらないんじゃないかと思うんです」

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