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コミケ参加者に“京アニ”への想いを聞いた。「切り離して考えたい」の声も

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4日間開催で入場者増。課題も残るが…

入場待ち

撮影:コミックマーケット準備会

 2会場分散開催と並んで大きな特徴となったのが、従来の3日間から4日間の開催に変わったこと。開催日程が増えたことで、各日程の参加者は減ったかと思いきや……。

「日数は増えたのに、全然人が減っていないというか、逆に増えてるんじゃないかな(笑)。すごい活気ですよね」(男性・参戦歴2回)

 事実、蓋を開けてみれば総来場者数は73万人と史上最大規模の盛況ぶり。「4日間になったことでサークルがばらついてしまったので、はじめて複数日程参加しました」(女性・参戦歴3回)という人も。数日間にわたり参加する人が増えたために、各日程の来場者数がそれほど減らなかったのかもしれない。

 また、今年からコミケでは経費の増加や混雑に対する安全対策などを理由に、入場制限中はリストバンド型参加証による有料化となったが、「僕が入場したときは入場制限中だったのですが、リストバンドを付けていない人も何人かまぎれていて、残念でした」(男性・初参戦)と不満を漏らす人もみられた。

 初めてづくしの今回は多くの課題を残す形となったが、あくまでコミケはボランティアと参加者が、一丸となって作り上げるイベント。今回話を聞いた参加者からは「規模が大きくなったので仕方ない」「次回に期待しています」などといった前向きなコメントも多く寄せられた。

コミケ参加者が「京アニ」に抱く想い

京アニ

 また今回は、7月18日に起きた京都アニメーション放火事件を経ての開催となる。

 コミックマーケット準備会(同イベントの主催)では8月7日、今回の開催にあたって「コミックマーケット96当日に改めて何かを行ったりはいたしません。既に多くの方が行動されているかと思いますが、コミケットの参加者の皆さんも各のやり方で応援していただけたらと思います」と声明を出している。参加者に、京アニへの想いも聞いてみた。

「私は昔から京アニの作品を好んで観ていたので、今回の件はショックでした。おそらくアニメを好きな人々はみんな同じ気持ちなんじゃないかと。今回のコミケの中でも、売り上げの全額を寄付するサークルがあったみたいです。同人誌は大元のコンテンツから外れた二次媒体ではありますが、そこからも盛り上げていこうという雰囲気は感じました」(男性・参戦2回)

「私は『らき☆すた』(京都アニメーションが制作したアニメ作品)をきっかけにアニメが好きになったので、今回の騒動に関しては言葉が出てこないです。京アニの作品は人物描写が丁寧なのが魅力ですが、そういった技術も、それを作り上げてきた命も失われてしまったことが、残念でなりません。

 ただ、コミケの参加にあたってはそういった気持ちは置いてきたつもりです。騒動を悲しむことと、アニメを楽しむことは切り離しておきたいので。どういう形であれアニメに貢献し続けていくことが、せめてもの、私たちができる恩返しなのかなって思っています」(女性・参戦歴4回)

 今回の事件をきっかけに「日本のアニメ産業が衰退するのではないか」と不安視する声も多い。そんな中でコミケは、ファンの側から日本のアニメカルチャーを盛り上げる一助になっているのかもしれない。

bizSPA!取材班のライター。音楽と鉄道と銭湯が好き

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