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東大中退ラッパーが吠える「若者の政治離れは大人のせい」

コラム

現状が改ざんされている“現状”

ダースレイダー:さらには「現状が何か」っていうのを知るために必要なデータが実は書き換えられてたり、公文書が破棄されていたりっていう、現状を認識させないための、あの手この手のことがすでに行われているわけ。それも報道がちゃんとされていないから、知らない人が多い。

 なんで、厚労省の勤労統計のデータが改ざんされているのが問題なのかっていうと、現状維持を選択する人の“現状”をそもそも曲げられていることだから。現状維持を本当に選択したいなら、選挙に行くという選択肢が出てくるはずなんだけど、みんなそこまで至ってないんだと思う。

 僕は両親に子供のころいつも選挙に連れて行かれていて、両親が投票する姿をみて、帰り道とかに「どこに入れたの?」みたいなことを聞いたら、「自分で決められるようになったら、参加できるようになるんだよ」みたいな話をしてくれて……。それが僕の記憶の資源として埋め込まれているんです。

選挙という“記憶の資源”

選挙

ダースレイダー:これが大人になって、選挙がトリガーとなって「そういえば連れて行ってもらったな」みたいな。そんときは意味はわからなかったけど、「あのときに両親がやっていたのはこういうことなんだ」と記憶が蘇る。これが教育ということだと思う。

 何で行かないんだって怒ってる大人の人たちいますけどね。今の20代、30代の親世代の40代、50代がかつてそういう記憶を子供に埋め込んでたかというと、サボってたんじゃないの?って思う。

 これはそのツケが回ってきた結果だと思うし、この先、基本的には投票にいくという原風景を埋め込まれていない人たちがどんどん有権者になっていくんだよね。

 しばらくはしょうがないんですけど、今からでも気づいた人は、自分の子供を投票所に連れて行ってみたりしたらいいと思います。

政治にクールな人たちの存在

――糸井重里さんがTwitterで下記のような発信をして「無責任」などと批判を浴びていました。70代くらいの人で、糸井さんのように政治にややクールな態度をとる人も多いように思います。

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投票用紙に、『好きではないけど』とか「今回限りと思ってほしい」とか、「応援してるけど、無策過ぎ」とか書く欄があったら、なんの足しにもならなくても、もうちょっと行った気になれる。ヨックモックを買って帰る。(※糸井重里公式Twitterより)
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ダースレイダー:糸井さん世代の1960年代、70年代の体験をしている人にとっては、「熱く政治を語る」という前提があってのニヒルな態度。80年代に入ったタイミングで「熱いのって格好悪いよね」って言ってるのと、今言うのとでは全然前提が違うわけで。

 かつてはカウンターだったのが、今は違うということに気づいていなくて、現状をあんまり考えずに喋っているんだろうなと。

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