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吉本興業元マネジャーが語る「これからの芸人の生き方」

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ライブ会場は、悪も正義もなく「平等な空間」

片山勝三

需要さえあれば、魅力さえあれば人は集まって来る

――ちなみにテレビ以外で芸人が稼ぐには、どんな方法があると思いますか?

片山:すごく分かりやすいところで言えば、キングコング・西野(亮廣)さんみたいにオンラインサロンもひとつのヒントですよね。ただ、芸人なら、きちんとネタを披露する場もつくらなきゃいけない。だから僕は、テレビみたいな「メディア」と、劇場の「ライブ」、オンラインサロンのような「ネット」の三角関係を今の芸人さんたちは意識するべきだと思っています。この三角をどれだけきれいに大きく描けるかが勝負ですね。

――とはいえ、ここ最近で、テレビだけでなく劇場をメインとする芸人が増えて来ている傾向もあります。

片山:僕はライブが見直されている理由が2つあると考えていて。1つは広告収入ではなく、直接お客さんからお金をいただくというエンターテイメントの原点であるところ。もう1つは、悪も正義もなく平等に受け入れてもらえる空間というのがあります。

 若手芸人だと、かが屋さん、ジャルジャルさんとか東京03さんとかは、芸人かつアーティストという側面もあると思います。“作品”に近いものをつくれる芸人は劇場にお客様がつきやすい。また一方で、ネタや態度がむちゃくちゃな芸人でも、需要さえあれば、魅力さえあれば人は集まって来る。そこがテレビと違うライブの魅力だと思います。

<取材・文・撮影/鈴木旭>

【片山勝三】
1997年、吉本興業入社。今田耕司、極楽とんぼ、キングコング、南海キャンディーズなどのマネージャーを務めた。2009年に退社し、株式会社SLUSH-PILE.設立。代表取締役社長に就任。お笑いライブを中心に様々なイベントの企画・制作、マネジメントを行う

フリーランスの編集/ライター。元バンドマン、放送作家くずれ。エンタメ全般が好き。特にお笑い芸人をリスペクトしている。個人サイト「不滅のライティング・ブルース」更新中

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