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平均年収2000万!キーエンス元社員が明かす“徹底した社員管理”

ビジネス

やや“バブル時代”なマネジメント方針

上司

※画像はイメージです

――教育体制に特徴はありますか?

吉田:良い意味で、感情を挟まないことでしょうか。生産性を下げるのを防ぐため、上司が声を荒げたりすることはありません。もちろんハラスメントなんてありませんでした。

 失敗して怒られることはありましたが、仮に怒られたとしてもすべてに理屈が通っている。だから納得せざるを得ないんです。

――上司や先輩との関係はどうだったんでしょうか?

吉田:上司や先輩の面倒見も良かったです。オフィスもフラットな雰囲気で、気軽に相談ができる環境でした。上役がふらっとやってきて、私の目の前で仕事を始めるなんてこともありました。徹底して面倒を見てくれるので、若手が仕事についていけなくなったという話もあまり聞いたことがありませんね。

――かなり理想的な環境のようにも思うのですが、なぜキーエンスを離れたのですか?

吉田:正直、社員のマネジメント方針は少し時代にそぐわないところがありました。「たくさん金を稼ぎたい」や「商談を何件達成して出世したい」といった、いわゆる“バブル時代”的なモチベーションをベースにしていたんです。

「仕事よりは友人関係」「多少給料が少なくてもやりがいのある仕事をしたい」といった今の若い人たちに多い価値観とは違っていました。

 私もお金よりは「死んだ後にも自分の名前がのこるようなモノを作りたい」という思いがありました。だから2年目の最初に、大学時代の知人から誘いがあったのを機に、キーエンスを離れることにしたんです。

――いま振り返ってみて、キーエンスはどんな企業でしたか?

吉田:外部の人間になって冷静にキーエンスを見てみると、あれほど成長できる環境はないなぁと。キーエンスで勤め上げられれば、どこでも通用する人材になるのではないでしょうか。私は今、就職支援事業もしているのですが、支援を受けに来る新卒の学生にも自信をもって勧められる会社です。

⇒次回、<年収2000万円のキーエンスを1年で退職。“新卒”には価値がない?>に続く。

<取材・文/小林たかし>

フリーランスのライター、主にweb媒体を中心に様々な分野で執筆を手掛ける。守備範囲は広いがとりわけ、変なもの、ことに関する興味が強い。最近の目標はヘビトンボを食べてみること。

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