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トランプ大統領がファーウェイを“ここまで警戒した”理由

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ファーウェイやめたら電波レベルはアフリカ以下?

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※画像はイメージです

 じゃあ、やっぱりファーウェイ使うのをやめたらいいのでは? と思うが、そう簡単な話ではないらしい。

「そうすると、格安スマホの選択肢は確実に減ることになります。3万円台であれだけの性能のスマホを作ることは他のメーカーにはなかなかできません。それよりも深刻なのは、携帯基地局(アンテナ)です。

 ファーウェイは携帯基地局の世界売上高シェアトップで、同じく中国企業のZTEと合わせて世界シェアの4割を中国企業が占めています。ファーウェイの携帯基地局は価格面・品質面ともに世界一優秀といえ、ファーウェイを使わないとなると、高コストで品質の劣るアンテナを使うことになるのです。

 おおげさに言うならば、ファーウェイを取り入れたアフリカなどの途上国のほうがいい通信インフラが整い、ファーウェイを排除した日本や欧米のほうが劣悪な通信を使う羽目になるわけです」

 日本にもファーウェイのスマホやWi-Fiユーザーは少なからずいるが、彼らの生活にも影響は出るのだろうか。

「すぐには影響はないでしょうが、割高な携帯基地局を使えば、最終的には携帯料金に反映されて、利用者の家計を圧迫することになるでしょう。安全保障は大事ですが、技術の進歩と庶民の生活も大事ですよね。安全保障のために他を全部犠牲にするってことがないように、アメリカにも考えてもらいたいですね」

<取材・文/西谷格>

【高口康太】
ジャーナリスト、翻訳家。1976年生まれ。千葉大学人文社会科学研究科(博士課程)単位取得退学。中国の政治、社会、文化など幅広い分野で取材を続けている。独自の切り口から中国・新興国を論じるニュースサイト「KINBRICKS NOW」を運営。著書に『現代中国経営者列伝』、編著に『中国S級B級論』など

週刊誌などのフリーライター。神奈川県藤沢市出身。上海に6年住んでましたが、最近日本に戻りました。『ルポ中国「潜入バイト」日記』(小学館新書)発売中。ツイッターは@nishitanitadasu

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