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東京海上日動、障害者の雇用拡大へ 業界初の「特例子会社」とは?

ビジネス

 小林さんは現在、アンケートをパソコンに入力する業務を担っている。それには漢字検定2級と英検準2級の資格が役立っているという。

「僕は頭を使うことが好きなんです。お客様の文字を読んで、難しい文字とかを解読したりするのがすごく楽しいです。

 アンケートを送ってこられる方には、達筆な人が多く、指導員の方もわからないような文字があるんですね。それを読んだりするのがすごく好きです。海外からの手紙も読むことができます」

支援体制により、特性を生かして能力を発揮

能力

※画像はイメージです

 この特例子会社では、支援体制が整っており、障害者一人ひとりの特性を把握した上で仕事の配置をおこなっている。彼の場合、企業内に得意分野を活かす職域があったということだ。彼の言葉からも毎日が充実しているというのが伝わってくる。

「仕事を4年やってきていろんなことを覚えることができたので、これからは新しく入ってくる人たちに業務を教えていきたいなと思っています。

 また、もっともっと自分を極めたいなと思います。周りの方はみんな優しくて話しやすいですし、本当にこの会社に入れてよかったと思っています」

「自閉症スペクトラム障害」は「コミュニケーション障害」「社会性の障害」という特性があるが、そこを配慮してもらうことによって自分に合う業務がみつかった。その笑顔がなんとも印象的だった。

 もちろん、全ての企業がこのようにうまくいっているとは限らない。しかし、これからの時代、相互理解と支援体勢の構築によっては、企業の新たな戦力に成り得る可能性があるのではないか。

<取材・文・撮影/草薙厚子>

ジャーナリスト、ノンフィクション作家。法務省東京少年鑑別所法務教官、通信社ブルームバーグL.P.を経てフリーに。著書に『少年A矯正2500日全記録』(文春文庫)、『ドキュメント発達障害と少年犯罪』(イースト新書)、『本当は怖い不妊治療』(SB新書)などがある。

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