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28歳OL社長が考える“豊かさ”「良い大学、良い会社が成功ではない」

ビジネス

積まれた在庫に圧倒されて、大戸屋で泣いた

――それでも500円×2000個=100万円は、学生にとって大金だと思いますが……。

正能:そうですね。社会人になった今の「100万円」とは、大きく感覚が違いました。そういえば当時、渋谷のパルコに2000個の商品の在庫が並んだ光景を見たときは圧倒されて……近くの大戸屋で泣きながらご飯を食べました(笑)。

 もともと2000個も作るつもりがなかったこともあって、びっくりしたんです(笑)。

――なぜ2000個に。その理由は?

正能:最初は「自分が大好きな小布施町のお菓子をかわいくすることで、小布施をもっと知ってもらえたらうれしいな」という気持ちで始めたプロジェクトだったので、個数も数百個単位で考えていました。

 でも、「せっかくやるなら、いろいろな人に知ってもらいたい」と思って、先回りして、商品が完成するよりも前に、メディアに取り上げていただけないかお願いをしていたんですよね。そうしたら、急きょ取り上げてくださる雑誌が見つかって。でも急だったので、撮影前日なのに商品が何もできていなかったんです。

 そこで、文房具屋さんに行って、パッケージを手作りしました。朝までかけて手作りした翌朝、自分たちで作った箱で、取材をしていただきました。その後、パッケージ屋さんにその手作りの箱を持ち込んで、量産をお願いしたのですが、「うちでは2000個からしか作れないよ」と言われてしまって。

 今思うと恐ろしいのですが、当時は「ロット」という概念を知らなかったんです(苦笑)。ただ、それが分かった時にはもう、引き返すわけにもいかず、とはいえ2000人も友達はいないので「これは困ったぞ」と焦りましたね。

クリスマス商戦の最中、イブにパルコと商談

クリスマス

※画像はイメージです

――それは大変でしたね。商品はパルコで販売されたわけですが、販路はどのように確保しました?

正能:若者の集まる場所で売りたかったので、渋谷のパルコさんに、お願いに伺いました。どうしたら本気度が伝わるかなと考えた結果、クリスマスイブにアポをお願いして。

「女子大生がクリスマスイブの予定をあけて、わざわざお願いに来るというのは、よっぽどのことだなと、思ってもらえるのでは?」と考えてたんですが、今思えば、年末の忙しい時期に本当に迷惑ですよね(苦笑)。

――はじめてのビジネスでいろいろ不安があったなか、手応えに変わったタイミングは?

正能:初めての商品の販売を終えた時、「自分が好きなことをして、それが世の中に受け入れられて、結果としてお金がもらえるという形の仕事って、面白いな」と思いました。それでハピキラを続けることにしました。

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