日経「内定辞退」記事が炎上。企業が呆れるモンスター辞退者の実態
採用担当者が恐怖する「モンスター内定者」
――内定辞退されて、具体的に企業が困った事例は?
佐原:一番困るのは、入社直前に辞退されたり音信不通になることです。たとえば、新卒採用数の多い小売業のA社は、採用担当の人数は決して潤沢とは言えませんでした。不人気業界のため、内定を出しては辞退されることを繰り返し、ようやく1月に採用数が充足できます。
しかし、入社に向けた連絡に一向に反応しない内定者が数名。不安を抱えながら4月の入社式を迎えると、案の定、そのうち1名が会場に来ませんでした。複数の担当者の携帯電話から何度も電話して、ようやくつながったのは、当日の夜。電話口で言われたのは「辞退したつもりです」の一言、すでに他社に入社していた。
――なかなかヒドい話ですね。
佐原:あるいは、まったく連絡がつかない「サイレント辞退」のままのケースもあります。手厚い内定者フォローをしていたサービス業のB社は、遠方の学生には宿泊費、交通費も支給して、首都圏にある本社で開催されるイベントに学生を呼んでいました。
ところが10月になると、積極的に参加していた地方在住の内定者1名と急に連絡が取れなくなった。メールには返事がなく電話にも出ない。留守電にメッセージを入れても折り返しがない。担当者の頭をよぎったのは「サイレント辞退」でした。
しかしイベントにも積極的に参加していた内定者がサイレント辞退をするなんて信じられず、何度も電話をするも、ついには着信拒否。担当者もようやく踏ん切りをつけて追加採用に頭を切り替えたそうです。
専用サイトで入社前後のギャップ解消を
――内定辞退を回避するため企業が取り組んでいる対策を教えてください。
佐原:重要なのは、接点の濃さと回数です。旧来からあるような懇親会や内定者研修なども対策として残るが、より内定期間が長期化している中で、かつ学業を阻害しないという前提に立つと、多くの直接接点を持つことが難しくなっている。
そうしたなか、専用サイトで気軽に質問したり、動画や写真を使い社風や仕事をリアリティのある形で見せるなど、ギャップ埋め、不安を解消する手段を取り入れる企業が増えています。
また、リクルーターの延長線上で社員が内定者フォローに関わるケースも増えており、弊社内定者フォローサイトにおいても、内定者の満足度が高い企業では、先輩社員にもアカウントを持ってもらい、直接質問できたり、先輩社員の姿を近くに感じられるような運用をしている傾向がある。