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「男子社員はメイク禁止なの?」職場でイビられたジェンダーレス新人男子の怒り

学び

就活時とのギャップに驚かれた配属初日

 そして配属当日、服装はきちんとオフィスカジュアルにし、髪型も韓国風の落ち着いたマッシュヘアに整えたそうです。しかし、就活後に、なんと目もとの整形をしてしまうのです。

「履歴書の証明写真を見ていた部署の人たちは、メイク・カラコン・マツエクで武装したぼくの姿にびっくりしたようでした。ただ、目の整形をしたことには気づいてもらえず、『加藤くん、なんか顔違うね』と、面と向かって言うだけでした」

 入社当日であろうと、女性はメイクやマツエク、カラコンも標準装備で、身につけることは常識の範囲内です。しかしながら、男性の場合、メイクをするというだけで、好奇の目を向ける人も、まだまだ多いようです。

好奇心の目を向けられ吊るし上げられる苦しみ

美意識 メイク

 加藤さんは、その後も心ない好奇の視線に「何度も傷つけられた」と言います。

「歓迎会の時にも嫌な思いをしました。人も多い花見の会場で、まだあまり仲良くない先輩に『メイク整形男子新入社員の加藤くんです』という紹介をされました。まだ知らない人も多いなかで、自分の口からしっかり伝えていきたかったことを軽く伝えられて、とても嫌な気持ちになりました」

 その日は後ろのほうにいる人たちが、自分のことをヒソヒソ指さしているような気すらして、うまく自己紹介できなかったそうです。

「初めて会う人の前で、先輩に『こいつゲイなんで気をつけてくださいね』と言われたり、メイク落としシートを渡されて『半分だけ落としてみてよ』と言われたこともあります。自分がどれだけ恵まれた人間関係の中にいたのか実感しました。ぼくのことをよく知りもしないくせに、大切にしている美容のことを軽々しくバカにされるのが許せなかった」

「男子社員はメイク禁止」就業規則にはなかった

「どうしても絶対に自分を曲げたくなかった」という加藤さんは入社4か月で会社を辞めます。もし飲み会で、女子社員のメイクを落とすようにけしかけたら、それはパワハラ、セクハラです。

「集団から浮いた存在を排除しようとしてするのは、よくある日本の悪しき風習ですね。もちろん、それが業務に悪影響を及ぼしてしまっては問題ですが、会社の就業規則には、服装のことは書いてあっても『男子社員はメイク禁止』と書いてないことが多い。

 世の中にはみなさんが思うよりセクシャリティに悩みを抱えている人が存在しています。心ない発言が知らないうちに他人を傷つける可能性があることを自覚してほしいです」

 セクハラ問題では、女性ばかりが取り上げられがちですが、男性のケースももっと認知されるべきなのではないでしょうか。

新入社員の身だしなみ、大丈夫?

<取材・文/ミクニシオリ イラスト/パウロタスク(@paultaskart)>

1992年生まれ・フリーライター。広告業界で絵に書いたような体育会系営業を経験後、2017年からライター・編集として独立。週刊誌やWEBメディアに恋愛考察記事を中心に寄稿。Twitterでは恋愛・人生相談にも回答しています
Twitter:@oohrin

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