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働くだけで数十万円損?サービス残業での損失額を計算してみた

コラム

 新社会人になって、初めての給料を受け取ったという人も多いでしょう。そんなとき、ぜひ考えてほしいのが、初任給の使い道ややりくりの仕方です。

 厚生労働省が昨年11月に発表した、平成30年の初任給は前年比0.3%増の、大学卒男女計の平均で20万6700円でした。また、大学院修士卒が23万8700円、高専・短大卒18万1400円、高校卒16万5100円で、それぞれ前年よりアップしていました(「平成30年賃金構造基本統計調査結果(初任給)の概況」より)。

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※画像はイメージです

 給料の金額が増えたことで、将来に備えた貯蓄や投資、あるいは奨学金の返済に回わす余裕ができたという人もいるかもしれません。もちろん、これを読んでいる新入社員のなかには、ブラック企業に入ってしまったり、就活失敗してしまったりして、生活に苦労している人もいるでしょう。

 お金の不安が尽きないミレニアル世代(2000年代以降に成人を迎える世代)に向けて、マネー知識の啓蒙活動をしているのが、1990年生まれの“お金の専門家”横川楓さんです。今回は、ブラック企業のリスクについて教えてもらいましょう.

(以下、『ミレニアル世代のお金のリアル』より横川氏、寄稿)

劣悪な労働を強いるブラック企業の特徴

 今の状況を変えたいと思っている人の中には、誰にも相談できず、仕事の悩みを抱えている人もたくさんいるでしょう。なかでも、休みたくても休めない、パワハラ・セクハラ、働いても働いてもお給料が少ない……。そんな悩みは、時に自殺や過労死という、とても痛ましい出来事の原因になってしまうこともあります。

 劣悪な労働を強いる会社は「ブラック企業」と呼ばれ、ここ最近はそんな労働環境を変えようとする流れが社会全体でできつつあります。しかし、ブラック企業で働いていることにより、私たちはつらい日々を送らなければならないだけでなく、かなりの金額を損していることを、まず理解しなければなりません。

 ブラック企業と呼ばれる会社の特徴は、いくつかあります。特にわかりやすいのは、残業が多いという点です。一般的には、労働基準法で、1日8時間、週に40時間を超えての労働はさせてはならないとされています。

 おそらくほとんどの会社員の皆さんはもっと働いているかと思いますが、基本はこの時間内ということになります。ただ、条件を満たすことで、これ以上の勤務が認められることになります。ただ、上限を定めないのは良くないということで、残業のような時間外労働は1か月で45時間、1年で360時間までと決められています(一部の業務や、特別な事情の場合を除く)。

残業代が支払われない「サービス残業」で損をする

給料

 しかし、いわゆるブラック企業では、こうした社会的な決まりとして働く時間を決められているにもかかわらず、それをなかったものとして決められた時間よりもたくさんの時間を働かせるのです。決められた労働時間を超えている場合、時間外手当として、その分、割増のお給料を支給しなければならないと決められています。

 一般的な残業だけでなく、休日出勤や深夜労働も割増の対象です。にもかかわらず、この割増が支給されないのがブラック企業です。本来ならば残業代として支払うべき金額が支払われない、こうした残業のことを、「サービス残業」と言います。

 また、求人で「時給990円、研修中は時給950円」などと試用期間は時給が低く設定されていることがたまにありますが、本来、雇い主側の申請が許可されていなければ、最低賃金以下にするのはNGなのです。皆さんの中にも、試用期間のお給料が安く設定され、損している人もいるはずです。

 残業代が支払われないだけでなく、ボーナスがないような会社も多く存在します。ブラック企業では、派遣やパート、アルバイトのように、そもそもボーナスがない雇われ方をしている人が多くいると考えると、ボーナスをもらっている人は、意外と少ないのかもしれません。

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