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「5月病にかかりやすい新社会人の特徴」1万人と面談した産業医に聞く

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 一方、自分へ高い期待をかけるのでなく、周囲に勝手に高い期待をかける人もいます。しかし、周囲の同僚にとっては、必ずしもこの時期に仕事がもっとも優先順位が高いとは限りません。

 奥さんが働き始めた時期であったり、お子さんが難しい時期を迎えていたり、親の介護などの問題があったり……。人それぞれに仕事よりも優先順位が高いものがあっても決して不思議ではないのです。

 そんな状況で「あなたも頑張って!」と呼びかけられても、応えられない場合もあるでしょう。こうした独りよがりな考え方は、特に周囲の人の事情を把握できていないような新しい環境下では、人間関係のストレスにつながりやすく危険です

ストレスは感じ方の違いで、成長の糧にもなる

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 GWが明けて7月の海の日の祝日まで、1年間のうちもっとも祝日のない期間が始まりました。ストレスには良いも悪いもなく、単に感じ方の違いです。

 ストレスは自分の調子を崩す原因にもなりますが、成長の糧にもなりますので、上手に付き合うことが必要です。ストレスを抱えたり、メンタルヘルス不調にならぬよう、自分と周囲の人をぜひ、ケアしていきましょう。

 では実際に、もしあなたが同僚の五月病に気づいた場合、どのように対処すればいいのでしょうか?

「いつもと違うけど、どうしたの?」

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 職場の同僚の五月病に気づいた場合は、「ちょっといいですか。いつもと違うけれど、どうしたの?」と、ぜひ少し声をかけていただけると良いでしょう。

 決して「それってメンタルかもしれないから、お医者さんに行けば?」などとは言わないで下さい。同僚から「医者に行け」と言われるのは、本人にとっては非常にイヤなことです。

 なので、あくまでも見た目の変化を指摘する程度、「ちょっと心配なんだけど……」くらいに留めておく方が無難です。あるいは産業医やカウンセラーのいる会社であれば、「ちょっと相談に行ってみたら?」と声をかけるのも良いかもしれません。

 大切なことはあなたが、気づいていることを伝えること、何か助けになることができないかと思っていることを伝えること、話を聞いてあげること、そして、必要に応じて医師やカウンセラー等の専門家につなぐことです。

 決してあなたが相手のストレス原因を解決したり、相手のメンタルヘルス不調を治す必要はないということです。真面目で面倒見のいい人ほど、そう思ってしまっており、声がかけられないでいるようです。

 ぜひ、あなたの職場でもご活用いただけますと幸いです。

<TEXT/武神健之>

医学博士、産業医、一般社団法人日本ストレスチェック協会代表理事。20以上のグローバル企業で年間1000件、通算1万件以上の健康相談やストレス・メンタルヘルス相談を行っている。著書『外資系エリート1万人をみてきた産業医が教える メンタルが強い人の習慣』(PHP研究所)発売中

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