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20代に広がる“麻薬だけじゃない”依存症。アルコール、処方薬にも…

薬物依存症に陥るのは働き盛りの世代が多い

手錠

――他に合法のもので、若者が依存症に陥る可能性があるものはありますか?

斉藤:エナジードリンク依存もあります。実際に治療に携わったことはありませんが受験勉強時に、1日10数本も飲んで中毒症状になり、救急搬送されたという話はときどき耳にするようになりました(※英国では16歳未満へのエナジードリンク販売が規制されるなど、世界各国で同様の動きがみられる)。

――お金がかかるので若年層の覚せい剤離れが起こっているとのことでしたが、薬物依存症患者に多いのはどのような人なのでしょうか?

斉藤:薬物依存症の専門外来を開設した15年くらい前は、入れ墨を入れていたり、小指がなかったり、一目でそちらの筋の人だとわかるような人が多かった。でも、最近、多いのは40~50代の働き盛りのサラリーマン。出版や新聞社、印刷会社、ITなど睡眠時間を削りながら働かざるを得ない人が多いです。

みんな長く使い続けるための知恵がついている

――職があり、普通の生活をしているように見える人だったりするんですね。

斉藤:「寝なくても済む」「仕事がバリバリできる」なんて話を聞き、興味本位で手を出して、そのままはまり込んでいきます。ただ、1回でも使用したら絶対止められなくなるわけではなく、そこから専門外来までたどりつく人は案外少ないんです。

 話を聞く限りでは覚せい剤やコカインなどアッパー系(気分が高揚する・ハイになる)の薬物を使用することが多いようですが、周囲にバレないためにも大麻や睡眠剤などダウナー系(気分が落ちる)とうまく併用して、効果を中和させている人の話も聞いたことがあります。

 逆に、より高揚感を味わうために「スーパーボール」と呼ばれる覚せい剤とコカインなどアッパー系の薬物同士を合わせて使うという人もいるらしいです。みんな長く使い続けるための知恵がつき、工夫しているわけです。

薬物依存症の治療はどのような流れで行う?

――なるほど、ではそういう人たちが治療に来るのにはどういったきっかけが?

斉藤:ほとんどの人は逮捕されて仕事や家族などを失って、薬物を止めざるを得ない状況に追い込まれてから治療に訪れます。なかには受刑歴が10回以上という人もときどき専門外来にやってきますね。

――薬物依存症の治療はどのような流れで行うのでしょうか?

斉藤:薬物を日常的に使用していると、時間軸が曖昧になり昼夜逆転してめちゃくちゃな生活になってしまいます。また、常に逮捕を恐れながら生活しているため、必要以上に被害的になったり、他人を勘ぐったりすることが常態化し、人間不信に陥る。。

 だから、入院したら、まずはとにかく静かで安心した環境に身をおいて生活リズムを整える必要がある。次に、薬物のないクリーンな生活を続けるために、同じ境遇の当事者に出会い、正直に気持ちを分かち合える仲間を作ります。専門のワークブックなどを使い、再使用したくなったときの適切な対処法を身につけていくことも必要です。