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大坂なおみが米国籍を選んだら東京五輪はどうなる?迫る国籍選択のリミット

コラム

国籍を選択しても実際に確かめない!?

 しかしながら、森山弁護士いわく、「政府は選択の義務を果たしたかどうかを確かめるわけではなく、日本国籍を選択した場合に外国籍を離脱するのも努力義務にとどまり(国籍法16条)、罰則等は存在しません」と、日本政府は選択義務を定めつつも、実際にそれを確かめることはしないのです。

 また、どちらかの国籍を選択しなくても、日本国籍が剥奪されることもないそうです。

 つまり大坂選手は22歳以降も今と同じ二重国籍の状態を続けることもできるのです。しかし、森山弁護士は「いずれかの国籍を選択するだろう」と考えます。

大坂なおみ選手が国籍選択を迫られる理由

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Words can’t describe this feeling.

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 大坂選手は、なぜどちらかの国籍を選択すると考えられているのでしょうか。理由のひとつとして、日本企業とのスポンサー関係があります。

「彼女の一挙手一投足が世間の注目をあつめています。罰則がないとはいえ、違法状態となってしまう二重国籍をスポンサーなどが許すとはあまり考えられません。ですので、22歳までに日本国籍かアメリカ国籍かの選択を迫られるのではないかと思います」

 プロスポーツ選手を続ける上でスポンサーとの関係は非常に重要です。ましてや大坂選手は契約金などで年に10億円以上を稼ぐと言われています。仮にアメリカ国籍を選択した場合は、以降は日本の選手ではなくなります。

 となると気になるのが、2020年の東京オリンピック。しかし、大坂選手が米国代表として出場することは、原則、あり得ません。なぜなら、国際オリンピック委員会が公認した大会などで、ある国の代表になった人は、そのあと別の国籍を取得しても、3年間は新しい国の代表になれないからです(オリンピック憲章の規定)。

  大坂なおみ選手は、昨年4月時点で国別対抗戦「フェドカップ」に日本代表で出場しているので、たとえ米国籍を選んだとしても、2020年の東京五輪は「日本代表」で出場せざるをえないわけです。
 
 ただし、この「3年しばり」には例外もあるようです。「NOC(国内オリンピック委員会)と関係IF(国際オリンピック委員会)との合意およびIOC理事会の承認を得て、短縮されることがあり、取り消されることもあるものとする」とオリンピック憲章にあるからです。

 とはいえ、大坂選手自身が「東京五輪は日本代表で出たい」と話したことがあり、ほぼ日本代表で出ると見られています。

 ところで、二重国籍を保つことは実生活においてはどのようなことがあるのか? そのメリット・デメリットを森山弁護士に聞いてみました。

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