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インフルエンザ新薬を生んだシオノギ製薬、大復活までの苦しみ

ビジネス

 毎年、この時期になると流行するのが、インフルエンザですよね。

 みなさんの周りでも、すでにインフルエンザにかかってしまった人がいるのではないでしょうか。1月24日放送の『カンブリア宮殿』(テレビ東京)では、インフルエンザの新薬「ゾフルーザ」を開発した塩野義製薬(シオノギ製薬)を特集。

塩野義製薬

塩野義製薬 医薬研究センター ©hiromitsu morimoto CC BY 2.0

 かつては業績不振で「終わった会社」と揶揄されていた同社。しかし今では業界で独自のポジションを築いています。汚名返上に貢献したのは創業家以外で初めての生え抜き社長、手代木功氏。「手代木マジック」と称されるその経営手腕とは一体、どのようなものなのでしょうか?

猛威を振るうインフルエンザ。死者も…

 厚生労働省の発表によると、1月14~20日の間に、全国約5000箇所の医療機関から報告されたインフルエンザ患者報告数は、1施設あたり53.91人となっています。前週は1施設あたり38.54人だったため、1週間で感染者数は約1.4倍と、急速に広がっています。

 また今月25日、群馬県前橋市の病院で、職員や患者12人がインフルエンザA型に集団感染し、このうち80代の女性患者1人が亡くなってしまったという事件が起きました。

 感染防止のために、マスクの使用や予防接種、うがい、手洗いなどを推奨していますが、感染の勢いは増すばかりです。そんななか、シオノギ製薬が発売したインフルエンザ新薬「ゾフルーザ」は一度、服用するだけで、治療が完結するとして大きな話題になっています。

シオノギ製薬、新薬を生み出せなかった90年代

 シオノギ製薬の2017年度の売上は、業界トップである武田薬品工業の1兆7705億円の5分の1程度の3447億円ほどしかありません。

 しかし、効率よく稼ぐ力を示す売上高営業利益率は武田薬品工業が13.7%であるのに対し、シオノギ製薬は33.4%と群を抜いて業界最大となり、業界内で独自のポジションを築いています。

 こうした背景には、自社開発率の高さが挙げられます。一般的な製薬会社の自社開発率は2~3割程度だそうですが、シオノギ製薬は7割を超え、ここ14年間で7つの新薬を開発することに成功しています。自社で薬を生み出すことによって、効率的に稼ぐことができるそうです。

 しかし、1990年代のシオノギ製薬は、主力としていた抗生物質薬市場の衰退と、研究に重きを置きすぎた社風ゆえ、効率的に新薬を生み出すことができなかったそうです。「塩野義大学」とも揶揄され、時代に取り残された“終わった会社”だとみなされていたとか。

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