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行員のクチコミは厳しめな「りそな銀行」だけど…核製造企業に融資しない宣言

ビジネス

 1月5日、りそな銀行の親会社にあたるりそなホールディングス(以降、りそなHD)は核兵器の開発、製造、所持に関与する企業への投融資を行わない方針を公表。

 方針は「社会的責任投融資に向けた取り組み」と題する文書に盛り込まれている。

Resona

photo by Suikotei CC BY 4.0

 りそなHDは、これまでも核兵器製造企業への投融資は行っていない。

 しかし今回改めて、その方針を明文化した。同社以外にも、核兵器製造を始めとする各種兵器製造への融資を禁止している銀行はあるが、該当企業に対して一切の融資を行わないと表明したのは日本の銀行では初だ。

 世界に目を向けると、2017年7月に核兵器禁止条約が国連で採択されたことを受け、欧州諸国を中心に核兵器製造企業への投融資を禁止する動きが広まってきている。

核兵器関連への投融資が多い日本

 環境問題や非人道的兵器の製造については、投融資する金融機関にも社会的責任という観点で厳しい視線が向けらるようになってきている。

 そんななか、りそなHDが核製造企業への投融資禁止を宣言した背景にはESG投資への配慮が見られる。ESG投資とは

・環境(environment)
・社会(social)
・企業統治(governanse)

 に配慮している企業を選別し、投融資を行うことだ。欧州では投資家や金融機関から新しい投融資の基準として注目されている。

 核製造企業への投融資禁止は世界的な流れとなっており、今回のりそなHDの宣言も国際世論に配慮したものであるといえる。

 日本は、世界唯一の被爆国でありながらも兵器を製造する企業への投融資への批判や規制は弱い。2017年にノーベル平和賞を受賞した核兵器廃絶国際キャンペーン、ICAN(アイキャン)は「日本のメガバンクなど計7社が核兵器製造企業に投融資をしている」と昨年に発表。その額は約2兆円に及ぶという。

 りそな銀行の今回の宣言は、自社のブランドイメージの向上、そしてESG投資などの背景を受けての中長期的な企業としての選択として見られている。日本の他の銀行もりそな銀行の動きに続くかが注目されている。

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