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吉野家は「お腹を満たす」だけじゃない!長年食べ続けた漫画原作者が語る、その理由

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 誰もが知っている人気牛丼チェーン「吉野家」を舞台に、仲が悪い訳ではないけれど、どこか距離のある「義兄弟」の物語が繰り広げられる『吉野家兄弟 1』(LINEマンガ)。10月14日に1、2巻同時発売されたばかりの同作は、作画を秋鹿ユギリさん、原作をヨコオタロウさんが担当しています。

吉野家兄弟

©Yugiri Aika・YOKO TARO/LINE Digital Frontier

 38歳会社員・小柳翔平と17歳高校生・水島康夫の義兄弟が、美味しいものを囲みながら、彼らなりのペースで歩み寄り、絆を紡いでゆく家族の物語。原作のヨコオさんは「ドラッグ オン ドラグーン」などの名作ゲームのクリエイティブディレクターであり、漫画『君死ニタマフ事ナカレ』の原作者として知られています。

 読めば吉野家の牛丼が食べたくなること間違いなしの本作はなぜ生まれたのでしょうか? ヨコオタロウさん@yokotaro)に話を聞きました。最後には『吉野家兄弟』の第3話を特別公開します。

【インタビュー前編を読む】⇒吉野家を舞台にした「異色の牛丼漫画」はなぜ生まれた?原作者を直撃
【インタビュー中編を読む】⇒吉野家の牛丼に紅しょうがを山盛りに…印象的な漫画シーンの“誕生秘話”を聞く

あの出会いと決断は今でもよかった

――漫画原作だけでなく、ゲームのシナリオも書かれてますが、きっかけはゲームセンターで「グラディウス」をプレイしたことだとか。具体的に教えていただけますか?

ヨコオタロウ:くわしいですね(笑)。グラディウスは自分が中学生の時にリリースされたゲームですが、それまでのゲームはインベーダー等に代表される「同じステージを繰り返して遊ぶ」ものがほとんどでした。しかしグラディウスは、ステージが進むと風景が変わっていきます。

 今でこそ当たり前の仕組みですが、当時は映画を見ているかのようなドラマティックな感動がそこにありました。

 それを見た自分は「コンピューターはどうせ発達し続けるから、この表現の先には実写を超えるようなゲームが出てくるに違いない。映画もテレビもなくなり、全部ゲームになるだろう」と思い、ゲーム業界を志すようになりました。結局、映画もテレビもなくなりませんでしたが、あの時の出会いと決断は、今でも良かったと思っています。

吉野家と牛丼の味は日常の一部に

吉野家兄弟

©Yugiri Aika・YOKO TARO/LINE Digital Frontier

――漫画を通して伝えたい吉野家の魅力とは?

ヨコオタロウ:「うまい、やすい、はやい」のキャッチフレーズに代表されるような吉野家の牛丼は、ともすれば「お腹を満たすだけ」の食べ物に見られがちです。でも、そうした牛丼を長年食べ続けているうちに、吉野家という場所と牛丼の味は、私達の日常の一部となっていきました。

 学校帰りの空腹を満たす時、残業終わりの疲れた一杯、持ち帰りのぬくもり、そうした日常の豊かさを吉野家を通して描けたらいいな、という感じで……いや、なんか真面目過ぎますかね。この回答。単に「牛丼、おいしいよね!」と言いたいだけな気がしてきました。

――最初はナムコに入社してから、ゲームクリエイターとして会社を興し、現在は漫画原作者としても活躍されています。最後に、キャリアについて若い世代にアドバイスをお願いします。

ヨコオタロウ:自分を含めて、就職、転職、フリーランスなど、色んな方々を見てきましたが自分のキャリアについて後悔している人はほとんど見かけませんでした。皆さん「一社に勤め続けて良かった」「転職して良かった」など、現状を肯定する発言が多く見られます。

 人間は「自分の選択を肯定したい生き物」であり、どんな選択をしても、あまり後悔をしない存在なのかもしれません。転職をすることも、しないことも、勇気がいることだとは思いますが、いずれを選んでも皆さんが後悔することは少ない気がします。皆さんに「仕事が楽しい」と思える未来が来るよう、お祈りしております。

<取材・文/シルバー井荻>

【ヨコオタロウ】
1970年生まれ。愛知県出身。神戸芸術工科大学を卒業後、ナムコ、ソニー・コンピュータエンタテインメントを経て、ブッコロを立ち上げ。同社代表取締役兼ゲームディレクター。携わった作品に「Voice of Cards 囚われの魔物」「ドラッグ オン ドラグーン」など。マンガ『君死ニタマフ事ナカレ』や舞台の原作などでも、幅広く活躍する

吉野家兄弟 1

吉野家兄弟 1

38歳会社員・小柳翔平と17歳高校生・水島康夫は、仲が悪い訳ではないけれど、どこか距離のある「義兄弟」。そんな彼らが外食チェーンストア『吉野家』を舞台に、美味しいものを囲みながら、彼らなりのペースで歩み寄り…絆を紡いでゆく家族の物語──。

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