若い世代に意外と多い「統合失調症」就職や進学がきっかけで…予防法を日本赤十字に聞く
春は昇進や部署異動、転勤などが盛んな時期。実は、こうしたライフイベントの変化をきっかけに発症することが多いのが「統合失調症」です。
厚生労働省によると、統合失調症は100人に1人弱がかかるとのこと。平均発症年齢は男性が27歳、女性が30歳と、比較的若い世代で発症することが多い病気でもあります。
今回は日本赤十字社医療センターのメンタルヘルス科に勤務する岡文恵先生にこの病気について、具体的な症状や発症の原因、予防法について聞きました。
統合失調症を発症する原因は?
岡先生によると、統合失調症が起きる原因は「脳内物質の不調にある」といいます。
「脳内の神経伝達物質であるドパミンの調整障害により、幻覚や妄想等の陽性症状、抑うつ症状や意欲低下等の陰性症状を引き起こします。症状の増悪を繰り返すうちに、思考力や判断力低下等の認知機能が低下してしまうんです。
患者さんには『自分と周囲とを隔てるバリアに穴が開いている状態のため、自分の考えが外に漏れていると感じたり、実際にはないことを事実だと感じたりする』と説明しています」
4つの段階を経て回復していく
統合失調症は前兆期、急性期、回復期、慢性・安定期と、4つの段階を経て症状が変化していくんだとか。
「前兆期では陽性症状に先立ち、不眠や不安、神経過敏等の症状が。急性期になると陽性症状が出て、その後、陰性症状を呈するようになります。回復期は休養をとりながら、社会復帰へ向けてリハビリテーションを行う時期です。慢性・安定期に入ると、治療を継続しながら社会生活を安定して行える状態となります」