副収入を会社に黙ってても大丈夫?「複業」を始めるときの注意点4つ
時間を切り売りして目先のお金を得ることを目的とする「副業」ではなく、今後のキャリアアップに向けて経験やスキル向上を目的とする「複業」へ取り組む方が増えています。
リモートワークの普及などにより、複業しやすい環境になっている一方で、複業から思わぬトラブルへと発展してしまう可能性があることを認識しておかなければいけません。
複業は、会社ではなく個人として仕事をするため、例えば確定申告を行う必要があるなど、知らなかったでは済まされないことがあるからです。そこで本記事では、複業を始めるときの注意点を4つご紹介します。
注意点1)複業所得が年間20万円以上は確定申告
先述のとおり、複業は個人で仕事を行うため、所得が年間20万円以上となる場合は確定申告が必要です。
「年間20万円以上の売上になったら確定申告が必要」と勘違いする方がたまにいるのですが、“所得”とは収入から必要経費を差し引いた金額を指します。そのため、例えば複業の売上が年間30万円だったとしても、複業を行う上で必要となる経費(交通費、事務用品費、接待交際費、仕入費用など)が10万円以上であれば、所得は20万円未満になるため、確定申告は不要です。
ただし、所得が20万円未満であることを証明するために経費支払い時の領収書等の保管は必要です。
余談ですが、所得が20万円以上あって確定申告すべきところ、無申告だったときは、故意に納税を免れる意思があった場合、「5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金、または、その両方」が課されますので、十分気を付けておいたほうがよいでしょう。
確定申告は年に1度ですが、1年分の経費処理を行い、確定申告書類を作成しなければならず、非常に面倒です。私がオススメする方法は「freee」「MoneyForward」といった手軽に利用できるクラウド型の会計システムを利用することです。
月1000円程度から利用できますので、確定申告時期に徹夜して書類を作成したくない人はシステムを利用されるとよいのではないでしょうか。
注意点2)コソコソと「伏業」しない
「複業」とは複数の仕事を持つことを指していますが、会社に許可を取らず黙って複業をすることを「伏業」と言ったりします。株式会社フクスケが2019年に行った調査結果によると伏業経験者は26%で、約4人に1人の割合でした。
私は、これから複業を始めたいという方から相談を受けることがあるのですが、そこでよく聞かれる質問が「会社に言うべきか否か」です。自分が所属する会社によってルールは違いますが、複業するために事前の申請や許可が必要であるならば、ルールに沿って会社の許可を得てから複業しましょう。事前申請が必要であるにも関わらず、黙って複業を始めてしまい、後々になって複業が発覚し、会社で処罰を受けてしまうといったリスクを回避するためです。
「伏業」は避けて、複業していることを会社で伝えたほうが良いのですが、会社が複業を禁止している場合はルールに従うようにしましょう。禁止していることをやると、万が一複業をしていることが発覚してしまったときに大きな処罰を受ける可能性があるためです。
ただ、1点だけ補足するならば、会社が複業を禁止するということは原則できないということ。会社が持つノウハウを流出させないように、競合となる同業種での複業を禁止することはよくありますが、勤務時間外で何をしようと個人の自由ですので、会社が勤務時間外の活動を制限することはできないという点は認識しておいたほうが良いと思います(公務員の場合は「職務専念義務」「守秘義務」「信用確保」が損なわれないように複業が禁止されていますのでご注意ください)。