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メディアが報じない「バイデン政権の対テロ問題」米国極右勢力が活発化

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 米国の大統領選挙からはや1か月が過ぎたが、徐々に2021年1月に就任予定のジョー・バイデン氏の周辺が固められ、外交・安全保障政策の方向性も明らかになってきた。しかし、日本のメディアでは全く報じられていない話題として「テロ問題」が挙げられる

バイデン氏

写真はバイデン氏の公式ツイッターより

 イラクとシリアに渡る広大な領域を支配した、あのイスラム国(IS)の姿はすでにない。ISのアブ・バクル・アル・バグダディ容疑者の死亡が発表されてから、もう1年半以上が経過した。とはいえ、ISのシナイ州やISのベンガル州など東南アジアや南アジア、中東やアフリカなど各地ではISを支持する武装勢力が依然として活動している。

各地でくすぶる武装勢力の火種

 一方、アルカイダについても、イエメンのアラビア半島のアルカイダ(AQAP)、北アフリカで活動するマグレブ諸国のアルカイダ(AQIM)、ソマリアのアルシャバブ(Al Shabaab)、マリを中心にサハラ地域を拠点とするイスラムとムスリムの支援団(JNIM)、シリアのフッラース・アル・ディーン(Hurras al-Deen)など、アルカイダを支持する武装勢力は依然として各地で戦闘を続けている。

 国連は2019年7月、依然としてアルカイダのメンバーが400~600人、インド亜大陸のアルカイダ(AQIS)のメンバーが150~200人いるとする報告書を公開したこともある。

 このように依然としてテロの脅威が残るなか、バイデン政権はどうこれに対処していくのだろうか。当然ながら、米国にとっての安全保障を考えると、対テロが中国やロシア、北朝鮮など国家間イシューより優先課題になる可能性は極めて低く、トランプ政権同様に、政策の優先順位ではテロ問題は二次的な扱いになるだろう

「サラフィー・ジハード主義」とは?

砂漠 兵士

画像はイメージです(以下同じ)

 メディアの扱いや世論の注目からすると、いわゆる対テロ戦争は事実上終わったに等しい。が、ISやアルカイダの脅威は終わっていない。組織的側面ばかりが意識されるが、実際はブランドやイデオロギーとなり、「サラフィー・ジハード主義」の前衛でしかない

 サラフィー主義とはイスラム教創始者たちの教えを厳格に守ろうとする考え方であり、ジハード主義とはイスラム国家の樹立のためには武力闘争(ジハード=聖戦)をもいとわないという考え方だ。アルカイダやISISなどがサラフィー・ジハード主義の実践者と見られている。

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