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メディアが報じない「バイデン政権の対テロ問題」米国極右勢力が活発化

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欧米では極右勢力が台頭

 今後も同主義を貫く別の名前を付けた第3の組織が台頭する恐れもある。バイデン政権がアフガニスタンやイラク、シリアを軽視するようになれば、米国は再びテロの脅威に直面する可能性もあることから、十分に慎重な対応が求められる。

 一方、現在直面するテロの脅威は、ドナルド・トランプ政権や、バラク・オバマ政権、ジョージ・W・ブッシュ政権の時とは事情が異なる。

 トランプ政権以前、対テロといえば正にISやアルカイダなどイスラム過激派だったが、バイデン政権はそれに加えてネオナチや白人至上主義など極右組織への対処も重要課題になるだろう

 近年、米国のアトムワッフェン・ディヴィジョン、ライズ・アバヴ・ムーブメント、ザ・ベース、英国のナショナル・アクション、ウクライナのアゾフ大隊、ロシアのロシアン・インペリアル・ムーブメント、北欧のノルディック・レジスタンス・ムーブメントなどのように、欧米世界では国境の壁を超えた極右勢力の台頭が目覚ましい。

極右勢力を警戒する必要が

ペンタゴン

バージニア州アーリントンのペンタゴン(アメリカ国防総省本庁舎) ©︎Jeremy

 米国務省は2020年4月、アルカイダやISと同じようにロシアン・インペリアル・ムーブメントと同組織の指導者3人を「特別指定グローバルテロリスト(SDGT)」に指定したが、SDGTとして指定された69組織のうち、白人至上主義組織は同組織が初めてとなった。

 また、米大統領選挙では「ミリシア」や「プラウド・ボーイズ」など、隠れずに活動する極右勢力の活動も活発化。2024年米大統領選において、トランプ大統領の再出馬するという報道も極右勢力にとって大きな原動力である。バイデン政権は外交・安全保障だけでなく国内治安という視点からもテロ問題に対処することになろう

<TEXT/国際政治学者 イエール佐藤>

国際政治学者。首都圏の私立大学で教鞭をとる。小さい頃に米国やフランスに留学し、世界の社会情勢に関心を持つ。特に金融市場や株価の動きに注目し、さまざまな仕事を行う。100歳まで生きることが目標

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