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インターネット通販を支える個人事業主ドライバー。高収入だがリスクも…

ビジネス

個人事業主として雇われるドライバー

 丸和運輸機関は、ドライバーを個人事業主として雇っています。そのため、高収入が売りで、出来高次第ではさらに増額もありえるのが魅力です。また、自分の裁量で労働時間や業務量を調整することができるのも売りのひとつで、この1年間で200人以上を新たに雇用したそうです。

 番組の取材に応じた個人事業主ドライバーとして働く20代男性の売り上げは、25日出勤してなんと95万2572円。この男性は第二子が生まれたことに加え、母子家庭だったために借りた高校、大学の奨学金の返済に充てているそうです。

 高収入である一方、リスクも拭いきれません。この男性は1日に平均して150個の荷物を配達しており、3分に1個のペースで配達している仕事量です。また、労働時間も12時間以上と長時間で、配達して不在だった場合の報酬はゼロ円という規定になっています。

 また、怪我や病気をした場合でも、補償は一切ありません。さらに、急な休みが発生した場合は、欠車代として費用を負担しなければなりません。また、委託契約は原則1年ごとの更新で、もし契約を切られれば、収入はなくなってしまいます。

個人事業主ドライバーの待遇に不信感

スマホを持つ男性

「もしかしてブラック企業なのでは?」
「便利なのは素晴らしいけれど、この状況が決して良いというわけではない」
「短期で高収入が期待できるなら自己責任で始めるのもアリ」

 SNS上では、個人事業主のドライバーの待遇に不信感を覚える人が少なくありませんでした。確かに、高収入なのは魅力的ですが、いつまでもそのような環境で働けるわけではないでしょう。あくまで短期高収入の仕事と割り切ったほうがよいかもしれません。

 北海学園大学の川村雅則教授は番組内で「過剰な『安い・早い・便利』のコストをドライバーに押し付けてきた。ネット通販会社などの荷主や物流会社、消費者が適切に負うべき」だと番組の中でコメントし、宅配サービスそのものが持続できなくなる可能性もあると分析しています。

 ネットで気軽に通販を利用できる便利な生活は、個人事業主ドライバーたちの文字通り身を削る努力の上に成り立っています。そのことを今一度意識して、インターネット通販を利用することが求められるでしょう。

<TEXT/湯浅肇>

写真をメインに数多くの時事ネタやマルチメディア関連の記事も執筆。常に斬新な切り口で情報発信を目指すアラサー男子

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