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「父の癌が見落とされていた…」悲痛な胸中を娘がテレビで告白

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 検査結果に癌の兆候が見られたにも関わらず、医師がそれを見落としてしまうケースが頻発しています。

レントゲン

※画像はイメージです(以下同じ)

 そのようなミスを起こした医療機関は2018年だけで8つ、被害に遭った患者は31人にものぼっており、命がかかっていることだけに大きな問題になっています。

 12月3日放送の『クローズアップ現代+』(NHK)では、そうした癌の見落としの実態が特集されました。医師のケアレスミスではなく、医療全体の構造的な問題が関わっているという驚愕の実態に驚いた人も少なくありません。

肺癌患者の娘が悲痛な胸の内を告白

 番組の取材に応じた愛知県在住の女性のケースです。この女性の父親(49)は、医師に肺癌を見落とされ発見が遅れたために、手術では取り除けない骨盤や頚椎などにも転移してしまい、長く苦しい闘病生活を余儀なくされています。

 女性の父親は、去年の1月に鎖骨を骨折し入院し、上半身の状態を調べるためにX線検査を行いました。その時の画像に既に癌と思しき影が写っていました。しかし、詳しい検査はされず、半年後にせきや胸の痛みを訴えた父親が再び病院に受診に行った時に、初めて癌だと診断されました。

 その後、病院側から家族に癌の見落としの事実を告げられました。その際、「根本的な治療が可能だったかもしれない」と説明され、やりきれない思いを抱えることになりました。

 番組のインタビューに答えた娘は「いちばん、父がつらいだろうなって思うんです。いちばん、生きていたいって思うのは父ですし」とその悲痛な胸の思いを明かしました。

4万件以上の検査結果をたった5人で診断

 NHKの取材班は、癌の見落としを公表した千葉大学病院を取材しています。検査画像を見て診断をするのは放射線診断医と呼ばれる人たちです。

 平成25年以降に9人の癌を見落とした千葉大学病院に在籍しているのは5人の診断医。これに対して、年間に行われるCT検査は実に4万件以上にものぼるそうです。そのため、検査全体の3分の1しか見ることができていなかったのです。

 また、技術の進歩によって、検査すべき画像の枚数も膨大になっています。40年前の技術では、4~5分で2枚程度しか撮影できなかったCT画像は、現在はたった4~5秒で200枚の画像を撮影することが可能になり、画質も大きく向上しました。思わぬ癌の早期発見に繋がるケースもありますが、それだけにこれまで以上に丁寧な診断が求められます。

 千葉大学病院の山本修一院長は番組のインタビューに「技術革新に対して我々の診療体制が追いついていない。そのギャップがこういう問題につながってきたのではないかと思っている」と答えました。

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