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仕事中に仮眠もOK!? 発達障害者の「潜在能力」を引き出す制度はどうあるべきか

ビジネス

 注意力が散漫であったり、コミュニケーションが不得手などの特性がある発達障害。

手すりにもたれて落ち込む女性

※画像はイメージです(以下同じ)

 これまでは一般的な会社では働きづらいとされてきましたが、障害者の法定雇用率が上げられたことを背景に、人材として活用する方法を模索する企業が増えているそうです。

 障害の特性を理解し多様な働き方を受け入れ、当事者の潜在能力を引き出す事例が11月26日放送の『クローズアップ現代+』(NHK)で紹介されました。

日本の「発達障害」は約48万人

 発達障害の特性は主に、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如・多動症)、LD(学習障害)の3つに分けられます。しかし、障害ごとの特徴がそれぞれ少しずつ発現する場合もあるため、明確な診断は難しいとされています。

 厚生労働省の「平成28年生活のしづらさなどに関する調査(全国在宅障害児・者等実態調査)」によると、医師から発達障害だと診断された者は、48万1000人と推計されています。このうち、76.5%が障害者手帳を所持しています。

 同調査の「発達障害と診断された者の日中の過ごし方の状況」を見てみると、65歳未満では「学校に通っている」と答えた者の割合が36.9%と最も高く、次いで「家庭内で過ごしている」が32.0%となっており、「障害者通所サービスを利用」23.0%、「障害児通所施設」19.7%と続いています。

 正職員として働いている人は7.1%、正職員以外は10.7%、自営業が10.7%となっています。発達障害者の1年以内の離職率は3.5人に1人だと言われており、仕事とのミスマッチに悩む当事者が多いと番組の中で紹介され、社会全体としての対策が急がれています。

1日30分間の仮眠を認める有給仮眠制度

寝転ぶ女性・ベッド

 スマホゲーム大手のGREE(グリー)の子会社「グリービジネスオペレーションズ」は、発達障害の特性にあった環境の整備と業務割当によって、その能力を最大限に引き出すことに成功しました。

 広汎性発達障害と診断されたある女性社員は、視覚に入るものに過敏に反応してしまう特性を抱えていました。

 入社当初は、主にデータ入力の業務を任されていましたが、彼女の特性を生かして、ゲームコンテンツの色付け作業を任せることにしました。普通の人には気付くことができない微妙な色合いの差を見分けることができるため、商品の品質向上に繋がり、現在では看板商品の制作を任されています。

六本木ヒルズ

GREE本社が入居する六本木ヒルズ森タワー photo by shampoorobot CC BY 3.0

 また、同じく広汎性発達障害と診断された社員の男性は、コミュニケーション能力に欠けていますが、情報を図やテキストをまとめる力に秀でていることが分かりました。そのことに注目した同社は、彼にグループ全体の人事マニュアルの制作などを任せています。

 グリービジネスオペレーションズでは、能力を最大限に発揮してもらうために、彼らの特性にあった環境を整えています。

 音声言語を処理することが苦手な発達障害者にとっては、電話対応は最も苦手とする業務です。そのため、デスクに電話を置かず、対面でのコミュニケーションを中心になるように整備しました。その他にも聴覚過敏の社員のためにヘッドホンを支給したり、過集中からくる疲れやすさに配慮し1日30分間の仮眠を取ることができる「有給仮眠」制度を導入したりするなど、障害の特性に柔軟に対応しています。

 同社の福田智史社長は番組のインタビューに「多様な働き方が可能になってきたら、発達障害は障害ではなくなると思います」と語りました。

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