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猫が店員の本屋さん。猫好きサラリーマンが実現した夢と働き方

学び

27歳のときに大きな分かれ目があった

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店主の安村正也さん(50歳)。昼間は外資系マーケティングリサーチ会社で働くサラリーマン

――転職は基本的に同業種で?

安村:27歳のときに大きな分かれ目があって。それまではシンクタンクなどで働いていたんですけど、時代的にこれからはITのスキルをつけておけば食いっぱぐれないなと思って、年齢としては遅かったんですけどなんとか滑り込んでSIerに転職したんです。いま思えば、あれは自分のキャリアを作るうえでギリギリのステップでしたね。

――そして、35歳で今のマーケティングリサーチ会社に転職されたと。

安村:はい。僕はプロジェクトマネージメントみたいな仕事が好きじゃないんですけど、年齢を重ねて偉くなるとそういう仕事が増えますよね。なので、現場でずっと続けられることは何かなと考えているときに、いまの会社に出会って。いまの会社は社内的にさまざまな仕事を効率的にするというタスクがあって、ここなら自分がこれまで得た知識や経験を生かし続けられるなと思ったんです。

――その読み通り、いまの会社は安村さんに合っていて長く勤めているわけですね。

安村:35歳で転職したので、次に転職するとなるとかなりの上の役職じゃないと転職できませんよね。となるとしんどいし楽しくないし、やりたくない。いまの会社は歳をとっても表立って偉いことをせず、ナンバー2とかナンバー3くらいの影の仕事をやっていけるので居心地がいいんです(笑)。

若い頃は“飽きない工夫”ができなかった

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「Cat’s Meow Books」にいる猫はすべて保護猫

――いま、ずっと同じ会社に勤めている友人などを見てどう思いますか?

安村:大学を出てから30年近く同じ会社に勤めている人はすごいと思います。僕、飽きっぽいんですよ。3年ごとぐらいで転職していたんですけど、3年くらいたつとその会社でやれること・やれないこと・やっちゃったことが見えてくるじゃないですか。そうすると、「なんか成長しないな」と思って別のことがやりたくなっちゃうんです。

――いまの会社はいかがですか?

安村:親会社がアメリカなので急に方向転換したりするので、それに対応するために2年に1回くらい四苦八苦するハメになり、飽きずに済んでるんです。飽きないように自分から「しんどいけどこれやらせてください」と言うようにしてる面もあるんですけど。そういう“飽きない工夫”を、若い頃もできていればよかったんですよね。

――パラレルキャリアについては何年くらい前から考え始めたんですか?

安村:40代半ばくらいかな。いまの会社に勤めて15年くらい経ったけど、定年まで勤めあげる絵は浮かばない……という時期ですね。死ぬまで働き続けるには何かしないといけないけど、そうなると会社員じゃない違うことをしなきゃいけないなと思って。それが自営業で本屋か何かをやろうと思い始めたきっかけですね。

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