凋落が目立つ「Netflix」。動画配信で「Disney+」と明暗が分かれた理由とは
コンテンツ力が強いディズニープラス
ディズニープラスでは、ディズニー作品はもちろんのこと、マーベル、ピクサー、スターウォーズなどの強力なタイトルを数多く配信しています。特に2009年12月にディズニーが買収したマーベルの人気が絶大。マーベル映画は、2010年から2019年までで公開された映画の興行収入トップ10において5作品がランクインしています。
ネットフリックスでもマーベル作品の一部を見ることはできますが、豊富なタイトルをラインナップしているディズニープラスの強さが目立ちます。マーベル作品でネットフリックスが独占配信していた大ヒットドラマ『デアデビル』は、2022年2月に独占配信契約が終了しました。ネットフリックスはシーズン3で続編の製作を打ち切りましたが、ディズニープラスがそれを引き継ぎます。ネットフリックスはまた1つ人気コンテンツを奪われた形です。
ディズニープラスが視聴者数を伸ばしている背景に、配信するコンテンツに対する安心感も挙げられます。ネットフリックスの人気コンテンツは、暴力や殺人、薬物などを扱うものが多いという特徴があります。子供や家族と一緒に観るのであれば、ディズニーやマーベル、スターウォーズシリーズが充実しているディズニープラスを選ぶ視聴者が多いのもうなずけます。
「広告つきプラン」を導入するも…
挽回を狙ったネットフリックスは「広告つきプラン」を導入しました。料金を引き下げて課金視聴者数の減少を食い止め、クライアントからの広告収入も得られるという一石二鳥の計画でした。
しかし、アメリカのデジタルマーケティングの業界メディア「DIGDAY」は、一部のクライアントに保証した視聴率を達成することができず、配信予定期間を待たずに出稿をキャンセルや返金を認めていると、2022年12月15日付のニュースで報じています。つまるところ、広告つきプランは上手くいっていません。
ネットフリックスは、プラットフォームビジネスにこだわりすぎているように見えます。広告を掲載するという考え方は、効率的に稼ごうとするプラットフォーマーらしいもの。近年はゲーム会社を次々と買収し、モバイルゲームの配信を開始しました。動画配信の次にゲーム配信プラットフォームを構築しようとしています。
そもそも、ネットフリックスが人々に支持されたのは、ドラマや映画のオリジナルコンテンツの魅力が高かったため。エンターテイメント力の高さが成長の原動力になりました。
ネットフリックスは、他社から動画を買い付けることの限界を早くから察知しており、オリジナルコンテンツの製作に力を入れました。独自に作ったドラマや映画がヒットすれば、中長期的に製作費を吸収し、利益率が高められます。