初心者が最も避けるべき「金融商品」とは?投資の基本を“金融工学の専門家”が語る
国際的な需給の変化を読むには
天然資源や農作物の価格が変化する場合、その主な要因は国際的な需給バランスの変化によるものだと考えられます。例えば原油の場合、パイプライン(原油を各地へ送るためのパイプ)がテロ攻撃にさらされたりすると価格が急騰します。
それは、パイプラインの破壊によって今後の原油の供給に支障が生じるリスクを嫌って、原油を今のうちに多めに確保しようという動きが出るからです。原油を今すぐ買いたい人が増えれば高値でも売れるので、原油の価格が上昇します。
原油に限らず、資源の輸出国は政情の安定しない国々も多いため、突発的なニュースによる価格の急変はしばしば起こります。パイプラインを管理している企業がサイバー攻撃にあって輸送が停止する事件も起きています。
日夜変動する資源価格
また、米国のような巨大な消費国における原油在庫のデータが定期的に公表されていますが、その値によっても価格が変動します。原油在庫が増えていれば価格が下がる(原油在庫増加→在庫が豊富なため購入は減少→購入が減るため価格下落)といった具合です。
2020年に新型コロナが世界中で猛威をふるった際には、ロックダウン(外出制限)によって航空機や自動車などによる移動が制限された結果、原油価格がかつてないほど大幅に下落しました。航空機のジェット燃料やガソリンは原油から精製されるため、需要の急落を受けて価格が急低下したのです。
日本に住んでいると、資源価格が安定しないことを意識しづらいかもしれません。というのも、日本の場合は、資源価格の負担増加を企業努力(コスト削減など)によってなんとか対処し、製品価格に反映しないケースが今までは多かったからです。