転職・失業を経て人気ブックライターに、今も印象に残る言葉「リクルート時代の上司が」
当時の苦しい経験があったからこそ今がある
上阪:ただ、後に気づくんですけど、美味しいか美味しくないかは自分が決めているんです。実は、美味しくないビスケットも、美味しく食べちゃう人がいるんですね。そしてそれを、自分の糧にしてしまう。
実際、僕は20代のとき、美味しくないビスケットを食べていたつもりだったんですが、後から思うと、本当にそうだったのか。当時の苦しい経験があったからこそ、今の僕がいるわけですね。その美味しくない(と思っていた)ビスケットを食べたからこそ、なんですよ。
だから、もし美味しくないビスケットを食べていると思っている人がいたら、案外それは美味しいビスケットなのかもしれないよ、と教えてあげたいんです。そしてまた、本当に美味しいビスケットは、まだ缶に残っているかもしれないよ、ということも合わせて。
村上春樹さんもそうですけど、小説家って凄まじい才能の持ち主なんです。加えて、とんでもない感性で色々なものを読み込んでいく。だから、やっぱり言葉が深い。そういう鋭い言葉が地の文でさらっと書かれていたりするんです。僕は「マーカーを持って小説を読むべき」とよく言っているんですが、この本もみなさんが読んだら、きっとマーカーでびっしりになると思います。
<取材・文/土谷燦良>
【上阪徹】
1966年、兵庫県生まれ。85年、兵庫県立豊岡高校卒。89年、早稲田大学商学部卒。アパレルメーカーのワールド、リクルート・グループなどを経て、94年よりフリーランスに。経営、金融、ベンチャー、就職などをテーマに、雑誌や書籍などで幅広く執筆やインタビューを手がける。著書に『成功者3000人の言葉 読めば今日から人生が好転する! 一流の思考法』(三笠書房《知的生きかた文庫》)ほか多数