NY金融界出身の「ヤマトのり」4代目社長が、コロナという難局から学んだこと
ホビーや工作、アウトドア市場に参入
パーソナル需要の開拓を行うべく、2001年からホビー&クラフトのカテゴリーに参入。ホビーや工作ニーズに応えるために、のりと絵の具が合体したクリアシールが作れるキット「グラスデコ」、鮮やかな発色の水性クレヨン「カラリックス シルキーツイスター」などの商品を開発。新たな購買喚起を図っていく上では、さまざまな商品を生み出すことに余念がない。
アイデアは社員からも募り、最近ではSNS映えするおしゃれでデザイン性に富んだ商品も発売し、企業コラボするなど消費者の裾野を広げる努力を行っている。
「最近では『OUTDOOR TAPE(アウトドアテープ)』という薄くて軽く、持ち運びに便利な布粘着テープが好評を博しています。従来の布粘着テープは、芯にテープが巻かれていることから、どうしてもかさばってしまい、持ち歩きには不向きでした。そのため巻き芯を取り除き、コンパクトに運べるような平たい形状のテープを開発したんです。現在ではキャンプやアウトドア、防災などさまざまな用途で使っていただいています」
原材料の高騰で値上げせざるを得ない状況に
直近のコロナ禍や物価上昇など、社会情勢による文房具の消費需要はどのように変化しているのだろうか。長谷川氏は「コロナ禍でリモートワークが推進されたことで、オフィス需要が減少、テレワークの普及もあり、マイナスに働いた」と話す。
「近年は少子高齢化や人口減少に伴い、売上は横ばいに推移していました。このままいけば、同じ物を売っていても消費量が減るわけなので、売上も下降線をたどることになります。こうしたなか、コロナ禍の影響はもとより、長年値上げをしてこなかったヤマト製品も、昨今における原材料の高騰、物価上昇、円安などによるあおりを受け、値上げせざるを得ない状況になっています」
時代の変化に合わせて柔軟に対応してきたヤマトも、今まさに難局を迎えているといえるだろう。そこで大事になってくるのが「用途の開発」と「海外を含む販路の拡大」の2つだと長谷川氏は述べる。