困っていたとき手を差し伸べてくれた先輩は

――30代に入ってから、仕事に対する向き合い方に変化を感じていますか？

松井：いただいたお仕事を一生懸命するという基本的なことは、ずっと変わっていません。ただ、現場に自分よりも年下の子が増えてきたので、接し方で悩むことはあります。特に、困っているときに手を差し伸べてあげるのが正解か、自分で考えてやるほうが本人のプラスになるのか、というのは難しいところですから。お芝居が始まってしまえば気になりませんが、それ以外のところでソワソワすることが多くなりました（笑）。

――ご自身は、先輩に救われた経験はあったのでしょうか。

松井：以前、私がまだ全然お芝居ができない頃に、頭の中ではイメージができているのに身体と感情が追い付かなくて困っていたことがありました。そんなときに、手を差し伸べてくださったのは、当時共演していた遠藤憲一さん。私が感じていたことを一緒に紐解き、お芝居ができるようにしてくださったので、すごくありがたかったです。

大変なことはだいたい笑い話になると思ってる

『よだかの片想い』

――それでは、仕事で悩みを抱えていたり、壁にぶつかったりしている20代の読者に向けてアドバイスをお願いします。

松井：誰にでも当てはまることではなくて申し訳ないですが、私は大変なことはあとで振り返ったらだいたい笑い話になると思っているタイプ。最近もよく言われますが、私はメンタルがマッチョなんですよね（笑）。しかも、類は友を呼ぶのか、私の周りも「勝ちにいくよ！ よっしゃ！」みたいな感じの人ばっかりですから。

　できないことがあるのは悔しいので、もっといろんなことに果敢に挑戦していきたいです。とはいえ、本当につらかったら逃げることも大事なので、あくまでもこういう考え方もあるよというくらいで伝えられたらいいかなと思っています。

＜取材・文／志村昌美　撮影／山川修一　編集／ヤナカリュウイチ（@ia_tqw）＞