夢を買い取る店で自分の夢を売ったら…挫折を経た作者が描く「独自の世界観」
数々の職業を転々としながら、漫画の道に辿り着いたミヤギトオルさん(@mitume333)。決して、順調とは言えなかった人生の紆余曲折を強みに変え、“人生の挫折感”や“大人の苦々しさ”をテーマとした、4コマ作品はSNSで共感を集めた。
前編のインタビュー記事では、現在にいたる人生について振り返ってもらった。後編では、そうした人生を糧にした作品を、どのような試行錯誤の中で創作しているのかについて紹介する。また、インタビューの最後に前編で紹介しきれなかった作品も掲載。ぜひ最後まで目を通していただきたい。
【インタビュー前半】⇒傷つかなくなったが失ったものも…「心の痛みを感じにくくする」治療を受けた結果
オチは「それほど重要ではない」
──ミヤギさんが手掛ける作品は、オチを考えるのが大変のように思うのですが。
ミヤギトオルさん(以下、ミヤギ):実は、オチはあまり意識せずに描き始めることが多いんですよ。手始めに、1コマ目から描きだして、つぎの展開に詰まったら少し時間を置いてから、また考える。その繰り返しで、オチはこんな感じかな、という流れで考えています。
──そうなんですか!? オチが思いつかないことは?
ミヤギ:もちろん、ありますよ。そういうときは、しばらく放っておきます。そのままお蔵入りすることもあれば、続きが思いついて描き上げることもあります。それと個人的にはオチはそれほど重要ではないと思っていて。
読者からは世界観が好きと言われる
──オチが重要ではないと言うのはどういうことですか?
ミヤギ:オチよりも漫画の中の登場人物のちょっとした会話や出来事が印象的だったりするほうを優先しています。きっちりオチのついた漫画を考えるのがあまり得意ではないと言うのもありますが、「この漫画、なんだったんだろう?」というような変な内容のほうが好みだったりもします。
──確かに、1コマごとに何か深い意味がありそうだったり、イラストとしてロマンチックな雰囲気が出ていたり、フリのためのコマではないように思います。
ミヤギ:そういうところを意識するから、幻想的な作風になるのかなと。実際、読者の方からは、オチの面白さというよりも、「世界観が好きです」といった意見が多いですね。