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パワハラを訴訟ではなく「柔軟な話し合い」で解決するメリット・デメリットとは

学び

ADRを利用したハラスメントに関する解決事例

交渉

 法務省は「かいけつサポート」という愛称で167のADR事業者を認証しています(※2022年8月時点)。労働関係紛争を中心にスポーツ、不動産、夫婦関係など様々な専門分野のADRが存在しており、最近ではZOOMやTeamsなどを利用したオンライン調停への対応も増えています

 実際にどのようなハラスメントの紛争にADRが利用されているのか、イメージしやすいように、解決事例を紹介します(法務省かいけつサポートHPより抜粋)。

【パワハラに関するトラブル】
 申立人は、パワハラを度々受けたことから、慰謝料及びパワハラによって働けなくなった期間の休業補償を求めるため、かいけつサポートを利用。 相手方(会社)は、パワハラの事実は確認できないため慰謝料や休業補償は認められないと主張していたが、早期解決を図りたいとの意向もあり、相手方が一定の解決金を支払うことで和解した。

【セクハラに関するトラブル】
 申立人(会社)は、相手方(元従業員)からセクハラの損害賠償を求められたため、かいけつサポートを利用。 申立人が一定の和解金を支払うことで和解した。

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 このように当事者が互いに歩み寄ることにより、ADRでの早期解決が実現します。当事者双方の希望を100%通すことは難しいですが、それは裁判でも同じような側面があると考えます。

ADRのフローと費用の目安

 筆者が代表理事を務める日本ハラスメント協会は法務大臣の認証を受け2022年7月1日に「ハラスメントADRセンター」を開設しました。職場におけるハラスメントの紛争に特化したADR事業者は国内で初めてとなります。パワハラ、セクハラ、マタハラ、就活ハラスメントを取り扱う紛争範囲としています

 ADRのフローと費用の目安を理解するために、ここでは「ハラスメントADRセンター」を例として紹介します。費用はADR事業者によって異なりますが、ADRの一般的なフローは他のADR事業者も同じですので参考にしてください(詳しくは「ハラスメントADRセンター費用報酬規程」を参照)。

【調停申立手数料】
申立人は10万円(税別)をセンターに納付

第1回期日(期日手数料、申立人・相手方Bの双方はそれぞれ1万円(税別)をセンターに納付)

第2回期日(期日手数料、申立人・相手方Bの双方はそれぞれ1万円(税別)をセンターに納付)

第3回期日(期日手数料、申立人・相手方Bの双方はそれぞれ1万円(税別)をセンターに納付)

「和解成立」(成立手数料、申立人・相手方Bの双方はそれぞれ成立手数料の等分をセンターに納付(例)紛争の価額が50万円(税別)の場合、成立手数料は8%となり、申立人・相手方Bの双方は成立手数料4万円(税別)を等分した2万円(税別)をそれぞれセンターに納付)

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