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KDDI社長が示した「謝罪会見の見本」。見習うべきポイントをプロが解説

ビジネス

主体性に欠けた発言はNG

土下座

 一方、謝罪会見で気をつけるべきことも多そうだが、「主体性に欠けた発言はNGです」という。

「主体性に欠けた発言について例を挙げますと、組織としての今後の対処・方針に関する質問に対して、『私の一存では決められない』とぼかすことでしょうか。加えて、組織の考え方に関する質問に対して、『私は答える立場にない』といったかわすような回答は慎むべきです。

 主体的なメッセージを発信するためには、自分(会社)に軸足を置いた回答が必要です。例えば、原因の所在が不明な場合でも、『原因は自社にあるのか取引先にあるのか、分かりません』とするのではなく、『私たち(当社)は、取引先と協力をしながら原因追及を努めていきます』とすればメッセージ性が生まれます」

謝罪会見にありがちな土下座はNG

 また、謝罪会見のNGムーブとして土下座も挙げられる。謝罪の意を最大限に表現する手段ではあるが、むしろ反感を買いそうだ……。

「『発生した事象にどう対処していくのか?』について表明することで、ステークホルダーの理解を得ることが重要です。土下座は『どう対処していくのか?』を放棄している印象を与えます。上場企業であれば多くのステークホルダーは、『土下座をするよりも今後の方針を示せ』と思うはずです」

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 会見に対しての話を聞いていったわけだが、謝罪が求められる様々なシーンでも応用できる話が聞けた。「謝罪時こそ評価を上げるチャンス」と捉えたうえで、井口氏の話した内容を取り入れてうまく立ち回ることができたら、ビジネスパーソンとして周りに差をつけられるだろう。

<取材・文/望月悠木 編集/ヤナカリュウイチ(@ia_tqw)>

【井口明彦】
プラップコンサルティング株式会社代表取締役社長。PR会社にて数多くの企業の広報活動支援を手がける。1999年プラップジャパンにて「メディアトレーニング」「危機管理広報コンサルティング」の専門部署を立ち上げる。メディアトレーニング部部長兼シニアトレーナー、危機管理広報主席コンサルタントを経て現職に。現在、企業・行政機関などを対象に年間160件以上のメディアトレーニングを手がける

フリーライター。主に政治経済、社会問題に関する記事の執筆を手がける。今、知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けている
Twitter:@mochizukiyuuki

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