「寄り添う、って言葉が嫌い」シリア難民キャンプで教育支援をする日本人女性の覚悟
そのためにも、「お互いに助け合って生きていくことの大切さ」を説きます。日本とは違い、政情が不安定な国の中でそのような当たり前のことを教えることすらも難しいのです。
そのような状況下でも、決してめげずに根気強く、子供たちと向き合っている彼女の姿に頭が下がるばかりです。
紛争や迫害で避難を余儀なくされた難民は6850万人
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の「数字で見る難民情勢(2017年)」によると、世界において紛争や迫害により、避難を余儀なくされている人は、6850万人にのぼります。
そのうち2017年に新たに、もしくは、再び移動を強いられた人は1620万人にのぼり、5年連続で増加しています。
主な難民発生国は、シリアが全体のおよそ57%の630万人、アフガニスタンが260万人、南スーダンが240万人となっています。
一方で、主な難民受け入れ国は、トルコが350万人、ウガンダとパキスタンが140万人、レバノンが99万8900人、イランが97万9400人となっており、受け入れ国のうち85%が開発途上国です。
人口に占める難民の数は、レバノンが人口の6人に1人が難民となっており、その影響で社会の不安定化を招いてしまっており、自国民との軋轢が生じており、難民を取り巻く状況や、支援をしている国も疲弊してきています。
「『寄り添う』ってワード、大嫌いなんですよ」
インターネットでは遠い国で頑張っている彼女の姿に感銘を受けたという人が少なくありませんでした。
「食料の支援も大事だけど、それ以上に教育の支援っていうのも本当に大事なんだと思った」
「ずっと興味があったけれど、この番組を見て継続支援の申し込みをする決心がつきました」
番組内で、彼女は「『寄り添う』ってワード、大嫌いなんですよ。よっぽど覚悟がないと、言えないじゃないですか。『ずっと寄り添い続ける』とかって。そんな簡単に使うもんじゃねえぞって」と語っているのが印象的でした。
教育というのは、自分一人で立って生きていく力をつけさせるものです。そのためには、ただ寄り添うだけではなく、いつかは背中を押して独り立ちさせなければいけません。
想像もできないような過酷な情勢の中で生きていかなければならない子供たちに、自分ができることは何か、改めて考えて見る必要があるでしょう。
<TEXT/湯浅肇>