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ネットカフェで寝泊まりしながら「ホームレス支援」を行った26歳女性が起業した理由

ビジネス

見えづらいホームレスの実態

――コロナ禍でネットカフェの営業が停止して困っている人がたくさんいるといった報道もありましたが、どうですか?

市川:普通に営業しているネットカフェもあったようで、みなさん、そういった場所を探して行かれていたようです。また、営業停止に合わせて、行政の支援でビジネスホテルに無料で泊まれる支援があったので、情報に繋がることができた人は利用できていたと思います。

――ネットカフェ生活をしている方たち同士で情報交換して?

市川:それはないと思います。路上で生活をしている人たちはお互いの存在が見えやすいため、「お前も家を失くしたのか」と声をかけたり、炊き出しの情報をシェアしたりすることもありますが、ネットカフェで生活している方たちは「ホームレス状態です」というのを出していないので、まわりも声をかけられない。支援から漏れてしまうということが問題になっています。

「ホームレス状態ではない」という認識

いえとしごと

「いえとしごと」での相談後にカレーを食べる相談者

市川:日本のホームレス状態の定義は狭く、路上で生活されている方を指すため、たとえば駅構内で寝ているお爺さんのような姿を想像する方が多いです。なので、実際には生活が困窮していても、そういった人たちと比べて「自分は違う」「自分たちには関係ない」と思ってしまう。本人たちがホームレス支援などの場所に行かないから、私たちも出会えない。

 学生時代、札幌で夜回りをしているときに支援が必要な方だと思って声をかけたら違ったということがあり、そうなると「めちゃめちゃ失礼じゃん!」と慎重になってしまうのですが、身なりがきれいな人も多いので見た目で判断できず、そのあと声をかけづらくなってしまうんです。

――なるほど。それで支援が行き届かなくなってしまうということですね?

市川:そういった方たちの存在が見えないから、「そもそも支援が必要ですか?」というところからはじまってしまうのです。支援をしようとしても、本人たちが自分をホームレス状態だと思っていないので調べない。そして、その情報を知ることができないという感じです。

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