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ネットカフェで寝泊まりしながら「ホームレス支援」を行った26歳女性が起業した理由

ビジネス

バイト代で炊き出し&ネカフェで寝泊まり

いえとしごと

「いえとしごと」で選択可能な業種

市川:行政やNPOさんなどの既存の活動にも関心がありましたが、仕事や家がなくて困っている方たちがいる一方で、空き家問題や人手不足といった状況にある不均衡を解決したいという気持ちも強かったです。でも当時は資格のない新卒を採用する枠はほとんどなく、どこかに入社してやりたいことをやるというのは現実的ではありませんでした。

 なので、ソーシャルビジネスを通じて社会の問題解決に取り組む会社、株式会社ボーダレス・ジャパンへ2016年に就職。入社4年目の2019年に、株式会社ボーダレス・ジャパンのグループ企業のひとつとして起業しています。

――すごいですね! 大学の頃にはすでに、ホームレスの方たちが生活する場所に支援に行っていたんですね。

市川:高校生からずっとモヤモヤしていて、その頃からいろいろ調べています。路上生活をしている方たちが雑誌を売る会社「BIG ISSUE(ビッグイシュー)」のことも知りましたが、自分にできることがわからないままでした。大学生になって、バイト代で炊き出しなどに参加。実家が田舎で終電に間に合わないので、ネットカフェで寝泊まりしながら参加していました(笑)。

止まらない「なぜ?」を追いかけて

いえとしごと

持ち帰る衣類を選ぶホームレス状態の人々

――それでも炊き出しに参加するって、すごいですね。東京以外にも行っていたのですか?

市川:はい。東京だけじゃなく、北海道や大阪など、いろいろな場所も見てみたかったので、お金を貯めて現地へ行きました。そこから「どうして、ホームレス状態になったんだろう?」と考えるようになり、仕事としてもかかわっていければと思うようになっていった感じです。

 ニュースでは家があまっている「空き家問題」が報道されていたり、人手不足と言われている一方、これだけ働けていなくてお金がない人がいたりして……。知れば知るほど簡単な問題じゃないということは実感していますが、純粋に「なぜ?」という気持ちはいまだに続いています。

――本当にそのとおりですね。どういったことがキッカケで家や仕事を失ってしまうのでしょうか?

市川:最近では、携帯電話が止まってしまうと仕事が見つからなくなってしまうので、それでお金が入ってこなくて、家を失うというケースが多いです。逆に携帯電話を使うことができれば不安定かどうかは別として、何かしら仕事が見つかってネットカフェやホテル暮らしができるかもしれないし、人によっては家を維持できる可能性もあるので、重要なライフラインと言えます。

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