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「あらゆる“渇望”が心を強くする」堀江貴文が語る、孤独だった幼少時代

ビジネス

情報を貪欲すぎるほど追い求めていた

堀江貴文氏、藤田晋社長

堀江貴文氏、藤田晋社長 – 撮影=HARUKI

 しかし今にして思うと、そんな境遇は両親からの最高のギフトだったかもしれない。「他人に期待をしすぎない」「欲しいものを獲得するために自発的に動く」という姿勢が、否応なく育まれた気がするからだ

 さらに言うと、日々のつまらなさに拍車をかけたのが「文化や遊びの欠落」だ。当時の僕の家は八女市の山間部にあり、住宅はまばら。友達の家に遊びに行くにも徒歩で最低30分はかかる。近隣に店や文化的な施設があるわけもない。

 家の中も、文化の香りとは無縁だった。まともな本棚もない中、読み応えのある本といえば百科事典くらい。小学生だった僕は、それを耽読した。面白いことなど何もない家の中で、百科事典だけが知的欲求を満たしてくれる、ただ1つの扉だった。つまり当時の僕は、外界の情報を貪欲すぎるほど追い求めていた。

「お金」のことを心配しすぎないほうがいい

 皮肉な話だが、クソつまらない家だったからこそ、僕のハングリーさが必然的に育まれたのかもしれない。心を鍛えるためには、「適度に不足気味くらいの環境」が、もしかすると良いのかもしれない。

 もちろん「我が子は、文化的に恵まれた環境で、デジタルネイティブに育てたい」という親御さんも多いだろう。しかし僕は「“飢えまくる状況”こそ、自らつかみ取りに行く強さを養う」、そんな真理がある気がしてならないのだ。

 もし、あなたが子育て中だったり、お子さんを持つ予定があったりするならば、将来の「お金」のことを心配しすぎないほうがいい。それよりも「与えすぎずに育てて、自主性やハングリー精神を養い、心を強くすること」をおすすめしたい。

<TEXT/実業家 堀江貴文>

1972年、福岡県生まれ。実業家。SNS media&consultingファウンダー。ライブドア元代表取締役CEO。ロケットエンジンの開発やスマホアプリのプロデュースのほか、予防医療普及協会理事として予防医療を啓蒙するなど幅広い分野で活動中。会員制サロン「堀江貴文イノベーション大学校(HIU)」では、約1000名の会員とともに多彩なプロジェクトを展開。『ゼロ』『本音で生きる』『多動力』など著書多数

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