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1か月を1500円で…貧乏学生だった堀江貴文が語る「金より大事なもの」

ビジネス

「人生」は、絶対に「有限」だ

堀江貴文氏、藤田晋社長

堀江貴文氏、藤田晋社長 – 撮影=HARUKI

 課金制の各種サービスを提供し、自分の夢を実現させるための資金稼ぎをしている人なんて山ほどいる。「お金がないからできない」と嘆く人には、「いったいいくらのお金があればできるのか?」と問いたい。「そもそも、問題はお金じゃないだろう」とツッコみたくなる

 このように、大学時代にどハマりした競馬は、リッチな状態も、プアな状態も、どちらも教えてくれた。そして僕は「懐具合にメンタルを左右されないコツ」「お金がなくても楽しく生きるコツ」を体得できた。これは大きな収穫だったと思う。

 お金なんかに振り回されて、心が弱くなるなんて、クソだ。いったい何のために生まれてきたのか、わからない。また、僕の場合、「お金がない」という状況よりも、「やりたくないこと」に時間を割かれるほうが、はるかにストレスを感じる。時間、つまり「人生」は、絶対に「有限」だからだ。

 この頃、競馬の軍資金を稼ぎたい一心で出かけた短期バイトで、大きな教訓を得た。それは、パン工場で商品仕分けをするという単発のバイトだった。「焼き上がったパンをピッキングし、納品先ごとに振り分け、伝票と一緒にまとめる」というのが僕に課せられた仕事。

今では感謝しかないパン工場

 これは工場内でも人力でやらなければいけない数少ない作業だった。当時でも、この作業の自動化は可能だったのではないか。でも、その工場では設備投資をするより、人を雇ったほうが安かったのだろう。

 そして、その作業は僕にとって、とんでもない苦行だった。もちろん一生懸命やった。「作業にかかる時間を縮めてみよう」と自分の脳内でゲーム性を取り入れるなど、楽しむ工夫もした。しかし何の面白さも見出せなかった。

「自動化した工場なら一瞬でできる単純作業の対価が、日当1万円だなんて!」

 僕は絶望的な気持ちになった。しかし、この一晩のおかげで、「やりたくないこと」が明確になり、努力する方向性を明確につかめたのだから、今では感謝しかない

<TEXT/実業家 堀江貴文>

1972年、福岡県生まれ。実業家。SNS media&consultingファウンダー。ライブドア元代表取締役CEO。ロケットエンジンの開発やスマホアプリのプロデュースのほか、予防医療普及協会理事として予防医療を啓蒙するなど幅広い分野で活動中。会員制サロン「堀江貴文イノベーション大学校(HIU)」では、約1000名の会員とともに多彩なプロジェクトを展開。『ゼロ』『本音で生きる』『多動力』など著書多数

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