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ソロキャンプの次のブーム「野湯」。マニアが語る危険でもやめられない魅力

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瀬戸氏も全治6か月以上の火傷を負った…

 さらに火傷にも気をつけたい。1月に北海道中標津町にある「からまつの湯」が閉鎖されたことがニュースになった。昨年、男性が湯船に転落し、火傷で死亡する事故が起きたことが原因だ。

 湯自体が高温だったり、地熱により、熱泥や熱水が地表に噴き出していることもある。瀬戸氏も鹿児島県にある「湯の池地獄下の湯」でうっかり熱泥を踏んでしまい、全治6か月以上の火傷を負ったことがあるという。リスクを避けるのは容易ではないが、野湯に入るには慎重な行動が求められる。

野湯

池一面が熱泥だらけの危険地帯/湯の池地獄下の湯(鹿児島県)写真提供/瀬戸圭祐

「事前に情報をきちんと入手し、自分の現在地を常にGPSで把握しながら先のことを計画できる人でなければ、野湯に行くべきではない。事故を起こしたら、立ち入り禁止になる可能性もあります。誰にも迷惑をかけず、常に安全に帰ることを考えながら行動する必要があるのです」(同)

 野湯は自己責任で楽しむもので、安全第一の行動が求められるのだ。

観光資源として自治体も支援

野湯

写真提供/瀬戸圭祐

 さまざまなリスクがある野湯だが、そこには入った者にしかわからない喜びがあるのも確かだ。

「野湯は大人の贅沢。必死で情報を集めて存在を確認し、やぶをかき分け崖を登り、沢歩きをして探し出す。ようやく見つけたら湯船を掘り、川の水や雪で適温にして湯浴みする。童心の頃の秘密基地のようで、自分だけの温泉に浸かるのは至高の喜びです」(同)

 魅力あふれる野湯に入ってみたいが、ハードルが高い―そんな初心者向けにツアーを企画している野湯もある。福島県猪苗代町にある「沼尻元湯」だ。

 温泉が川となって流れる壮大な野湯だが、硫化水素ガスが噴出しており、一定の危険性がある。それを安全に楽しめるようにしようと、民間の業者が「沼尻元湯エクストリーム温泉ガイドツアー」を昨年から開始。自治体もこのツアーを支援し、観光客誘致の呼び水にしようとしている。

「ツアーへの期待は大きいです。特に外国人にもウケそうなので、日本人ももちろんですが、コロナが落ち着いたら多くの方に来ていただきたいです」(福島県観光物産交流協会・長嶋勲氏)

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