歌舞伎役者から39歳で転職。「銀座 蔦屋書店」書店員が語る“異色のキャリア”
転職をしながら様々なことを学ぶ
――「現場に強い」「人当たりがいい」という自分の強みはどこから見出したんですか?
佐藤:先ほどお話した通り、歌舞伎役者だった時に全体を見て、調整する役割をやっていたことが大きいですね。現場では先読みや切り替えが重要になってくるので「現場に強い」というのは歌舞伎の世界で鍛えられたと思っています。
師匠の意向を伝える役割や、スタッフの間にはさまってうまく調整するためには人との接し方も重要になるので「人当たりのよさ」もそこで身についたものだと思います。
――最初に転職したのはどのような企業でしたか?
佐藤:日本酒の飲食ベンチャーでした。とにかく人が足らず、現場の責任者がほしいとのことで採用が決まったのですが、もともと好きだった日本酒や、日本酒を作る地域に貢献できるところがいいなと感じ、販売員として百貨店や商業施設での催事場に立っていました。
日本酒の飲食ベンチャーで得た学び
――日本酒の飲食ベンチャーでの販売員と銀座 蔦屋書店の書店員、同じ接客・販売業ですが、当時の経験は今どのようにいかされているのでしょうか。
佐藤:その時、一緒に働いていた派遣さんがすごく仕事のできる人で、接客での言葉使いからお釣りの渡し方まで、物販の基本を教えてくれたんです。現在、銀座 蔦屋書店で販売員として働くなかで、当時教えてもらったことはかなり活きていると感じます。棚卸しや商品の陳列方法などもそうですね。
――日本酒の飲食ベンチャーで販売員を経験した後は、古美術ギャラリーで働いていたとお聞きしました。
佐藤:京橋の「加島美術」というギャラリーで仕入れた古美術を販売する仕事をしていました。古美術の扱い方を学べたのは大きかったですね。銀座 蔦屋書店の展示で掛け軸や額装された作品を扱う時もどうすればいいかがわかっているので、あのとき学んだ知識は今でもかなり役に立っています。本当に得難い経験ができた仕事でした。