“メジャーMVP”大谷翔平「強さと成長力」の秘密。本人の言葉4つから解き明かす
大リーグ選手会主催の選手間投票で最高の栄誉にあたる「年間最優秀選手賞」、「ア・リーグ最優秀野手賞」W(ダブル)受賞。『タイム誌』が選ぶ世界で最も影響力を与えた日本人に選出。『ベースボール・ダイジェスト』が選ぶ2021年MVP受賞……と、大谷翔平選手の大活躍はご存じの通りでしょう。
今回は、スポーツ心理学の第一人者である著者(児玉光雄)が、大谷選手の強さと、成長力の秘密を本人の言葉から解き明かします(以下、《》内はすべて大谷の発言)。
※本記事は『大谷翔平 勇気をくれるメッセージ80』(三笠書房)から再編集し、抜粋しました。
自分のほしいものを獲得できる環境を選ぶ
《それ(メジャーのレベルが高いこと)が僕の中で“いいな”と感じていることです。常に上のレベルにいけるチャンスが与えられるわけです。もし、「これでいける」という打撃ができたら、工夫はしないと思いますし、このまま変化がなく野球人生が終わっていくのかな、と思うので、その意味でもメジャーに来てよかったな、と感じています》(メジャーの魅力について語った言葉)
どんなに成長しても、大谷は純粋な野球少年の心を忘れない。相変わらず、「絶え間なく成長し続けたい」という純粋な思いが大谷の心の中には存在するのだ。その貪欲な成長欲求が、大谷を飛び切りの上昇志向の人間に仕立てている。
人生はたった1回きり。しかも、時は今も確実に刻み続けている。自分の思いを存分に貫ける環境に身を置き、自分のほしいものを手に入れるために徹底して全力を尽くす……これ以上の幸せは、この世の中にあまり見当たらないはずだ。
1日単位の小さな目標を、着実に実行していこう
《「毎日バットを振る」というよりは、じゃあ「毎日何分間」とか「毎日何本振っていく」とかそのくらい明確じゃないとちゃんとこなせないんじゃないかと思います》(「目標に数字を入れること」の大切さについて語った言葉)
大谷の言葉には「目標」という単語が、驚くほどたくさん出てくる。しかも、その考え方は目標設定理論の核心を突いている。これは、知っておいてよい知識だ。どんな分野においても、小さな目標を日々積み重ねることが、私たちを夢の実現へと連れていってくれる。そして、目標の「細分化」は、私たちの成長にとって不可欠な行動習慣を根づかせてくれる。
たとえば、今までなんのトレーニングもしていなかった人が、いきなり毎日30回腕立て伏せをするという目標を立てても、長続きしない。筋力はもちろん、そのノルマを継続させるメンタルの強さもないからだ。
しかし、毎日5回の腕立て伏せ、という簡単さならば長続きする。これがしばらく続けば、日に7回の腕立て伏せができるようになっている自分に気づくだろうし、やがては「毎日30回腕立て伏せ」ができる自分に出会える。
1日単位で、理想までの道のりを細分化した目標を設定し、それを着実に実行する。このとき、自分の人生には今日という1日しか存在しないと思うと、理屈抜きに、かけがえのない1日を精いっぱい頑張れるようになる。